2001年アメリカ同時多発テロで夫を失い、3人の子供を必死に育ててきた晴美さん。長男が中学生に入るころから「自分の人生」と向き合い、多くの人の居場所を作りたいと千代田区にイタリアンバール「晴ればーる」をオープンさせたのは、2015年のことだった。口コミで多くの人の居場所となりつつある中、経営のてこ入れをしようとした矢先に、新型コロナウイルスの猛威が襲ったときのことをお伝えする連載20回目の後編では、2020年4月に5周年を迎えるはずだった晴美さんが、現実と向き合い、考えて決断するときのことをお届けする。

千代田区のビルの地下に開いたイタリアンバル「晴ればーる」写真提供/杉山晴美
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何があっても「晴ればーる」を手放したくない!

晴ればーるはわたしにとっても、大切な居場所。たった5年間ではあるが、大切に育ててきた子供のような存在。沢山の出会いと再会をくれた大切な空間である。

何があっても手放したくはない! 守り通したい!

そう想う一方、こんな考えも浮かんできた。

コロナ禍にあり、いつまでもそのような想いにとらわれていてはいけないのではないか?
地下店舗の換気の良くない狭い空間に、大切なお客様とスタッフを招き入れ、ウイルス感染のリスクにさらし、そこで本当に晴れやかな笑顔を作ることなど出来るのだろうか?
時代は変化してしまった。自分も時代に合わせて柔軟に変化しなければならないのではないか?

2020年4月の銀座。人が本当にいなくなった Photo by Getty Images

思えば「場所」にこだわって作ったのが「晴ればーる」。みんなの居場所を作りたい。ここに来れば心が晴れる、そんな誰しもの居場所を作りたくて晴ればーるは生まれたのだ。

だが、新型コロナウイルスの感染が拡大していく今、大切なのは「場所」ではないのではないか? 「場所」にとらわれない時代に、突然ではあるが、変化してしまったのだ。
皆が別々の場所に居ながらにして会議をし、打ち合わせをし、商品説明をし、契約し、面談をし、採用をする。さらには飲み会をし、合コンをし、お見合いをするなどの縁もリモート上でつなげるのである。

少なくとも今しばらくは「場所」に固執せず、まずはどう感染を防いでいくかを考える事が先決なのではないか。