人間って逞しいな、強いな。

「台本を読んで、ぎんはなんて素敵な女性なんだろうと思いました。もともとダンサーになりたかったのが、足が不自由になってしまって、その夢を諦めた女性です。しかし、居酒屋で働きながら、エネルギッシュに生きている。芯は強いけれど、松永をまっすぐに思っているところは、健気だなと思います。ただ、色々な悩みや不安を抱えているはずなのに、可哀想には見えないんです。そのぐらいパワーに満ち溢れている女性です」

世界中が、長いコロナ禍の中にあって、果たして収束するのかしないのか。先が見えない時代に、戦後の闇市を描いたこの作品に元気をもらうこともあると希さんはいう。

「戦後の混沌とした雰囲気は、今と比べたら無茶苦茶なんです! 人の欲望が渦巻く闇市には、生きることに必死な人たちが集まって、みんなギラギラしている。登場人物の誰もが、明日どうなるかもわからないけど、今を一生懸命生きなくてはと思っている。たくましく生きる女性は本当にカッコいいですよね。この作品では、男も女も人間臭くて、みんな本音で生きている感じがします。私は、もともと、人間の綺麗な部分だけじゃなく、汚い部分も描いている、人間臭い作品が大好きで……。例えば、韓国映画って生々しい場面もありますよね。観ると3日間ぐらい引きずってしまうこともありますが(笑)、最後は必ず、『人間って逞しいな。強いな。私も頑張るぞ!』って思えるんです」

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最後に、「舞台はほとんど観たことがない人に、今回の舞台の面白さをアピールするなら?」と聞くと、「難しく考えずに、まずは一度観に来ていただくことをお勧めします。そうしたらきっと『面白い!』と思ってもらえると思います!」と言って、ニッコリ微笑んだ。

「登場人物それぞれに見せ場があって、一つの見せ場が終わるとまた次の仕掛けがある。私が、4年前に三池さんの歌舞伎の舞台を見て、ずっと楽しかったように、頭を空っぽにして楽しんでいただけたらいいと思います。黒澤明監督が作った、世界でも認められた傑作を、あの三池さんが舞台にするんですよ! 『どのような舞台になるんだろう?』ってワクワクしませんか?」

前回の舞台『ブロッケンの妖怪』では、ホラーとコメディが共存するファンタジーの世界に、彼女は生きた。あれから6年、今度はあのときよりもずっとタフで、ハードな世界で、希さんは“ぎん”として生きる。前よりは、不安にならずにいられる自分がいるのはきっと、「ちゃんと生きてきたんだから大丈夫」という確信があるからだ。

撮影/山本倫子
佐々木希(ささき・のぞみ)
1988年2月8日生まれ。秋田県出身。2008年に映画『ハンサム★スーツ』で俳優デビュー。2015年に『ブロッケンの妖怪』で初舞台を踏む。話題の映画やドラマに出演する一方、モデルとしても活躍。最新出演作に、現在NHK BS プレミアムで放送中のドラマ『白い濁流』に出演中。 ワンマイルウェアブランド「iNtimité(アンティミテ)」も手がけている。
Instagram:https://www.instagram.com/nozomisasaki_official/?hl=ja
醉いどれ天使
闇市を支配する若いヤクザ・松永(桐谷健太)と、酒好きで毒舌な貧乏医師・真田(高橋克典)。結核に犯されている松永を、真田はなんとか生かそうとする。真田の助言も聞かず、診療所で働く美代(田畑智子)の心配をよそに、松永は診療所を飛び出し、居酒屋で働く同郷の幼馴染ぎん(佐々木希)の元を訪れ、闇市の様子を見守るのだった……。戦後の傑作映画が、73年の時を経て舞台版で復活。脚本は蓬莱竜太、演出に三池崇史。
[東京公演]9月5日(日)~20日(月・祝) 明治座
[大阪公演]10月1日(金)〜11日(月)新歌舞伎座https://www.yoidoretenshi.jp

ヘアメイク/高橋里帆 スタイリング/天津亜紀

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