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9月 7日 絶滅危惧種の日

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

今日、9月7日は「絶滅危惧種の日」です。これは1936年のこの日にフクロオオカミ(Thylacine)の最後の一頭が亡くなり、この種が絶滅してしまったことに由来しています。

この時亡くなったフクロオオカミはオーストラリアのボーマリス動物園(現在のホバート動物園)で飼育されていた「ベンジャミン(Benjamin)」と呼ばれる個体です。

フクロオオカミはタスマニアオオカミとも呼ばれる、その名の通りオーストラリアのタスマニア島にのみ生息していたフクロネコ科の動物です。

「オオカミ」というくらいなのでその外見はイヌやキツネに似ていますが、メスにはカンガルーのような育児嚢がある、いわゆる有袋類の一種です。

全長は約1.1mほどで褐色の体毛をしており、背中には黒褐色の縞模様が16本程度入っています。

フクロオオカミ

かつて、このフクロオオカミはオーストラリアの全土に生息していましたが、人間による狩猟やディンゴとの生存競争に敗北したことが原因でどんどん生息数が減り、自然種はタスマニア島に生息するものを残すのみとなっていました。

この状況を鑑みて、1936年7月にオーストラリア政府はフクロオオカミを「保護すべき生物」に指定していました。

ベンジャミンは1933年に野生で捉えられ、ボーマリス動物園へと引き渡されました。

1936年の時点でベンジャミンの体は健康な状態であったそうですが、その前夜に締め出され、寒いコンクリートの上で寝ることを余儀なくされたせいか、9月7日に動物園の囲いの中で死んでいるのが発見されました。

その後、動物園はハンター達にフクロオオカミを捉えるように依頼を出しますが鳴かず飛ばずで、この状況に際してようやく「フクロオオカミが絶滅したのではないか?」とささやかれ出します。

結局、それから現在までフクロオオカミが生存しているという確固たる証拠はなく、多くの専門家が「フクロオオカミは絶滅しているだろう」と述べています。

この地球では現在でも生物種の絶滅が急ピッチで進んでおり、そのスピードは1日に約100種類とも言われています。

2020年に環境省から発表された『環境省レッドリスト2020年』によると、我々のよく知るラッコなどが3番目に危険な状況である「絶滅危惧IA類」に登録されています。ちなみに最も危険なのは「絶滅」、2番目が「野生絶滅」となっていますが、現在この野生絶滅に含まれる生物種がいないことを鑑みると、この「絶滅危惧IA類」が最も絶滅に近いと言えます。

弱者は淘汰されるのが自然の掟とはいえ、現在の生物種の絶滅スピードは従来のそれと比べてあまりに早いと言わざるを得ません。これに対する人間の介入と生物の保護が求められています。

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