安心安全であるはずの
家庭内でなぜ暴力が…

コロナ禍の長引く外出自粛の影響もあり、2021年3月のDVの相談件数は月別で過去最多となった(内閣府男女共同参画局)。心身の疲れやイラ立ち、自宅での飲酒量の増加など、暴力行為にまで至らずとも、さまざまな理由で家族関係が悪化する事態も増えているようだ。

本来であれば、頼れる存在である親や家族からの暴力による悲しいニュースを目にするたびに胸が痛む。同時に、被害者の相談窓口や民間シェルターなどの情報提供が行われることで、支援や保護を必要とする方へのサポートが少しでも助けになり、被害に苦しむ方が一人でも救われればと思う。

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児童虐待、家庭内暴力をテーマにした作品を多く手がける、漫画家・あまねかずみさんの作品『虐待被害者母子を助けて~シェルター~/ぶんか社』は、家庭内暴力の被害者が一時避難する“シェルター”を舞台に、そこで繰り広げられる人間ドラマを描いている。

主人公は女性弁護士の妻・弥生と、同じく弁護士の夫・誠。夫婦で弁護士事務所を構え、二人の娘にも恵まれ、端から見れば幸せな家族である。しかし、夫は仕事のストレスからか毎日のように妻にあたり、妻は言葉の暴力に苦しめられる日々。そんなある日、家族に突然の不幸が起こり、それを機に夫は妻と娘に暴力を振るい始める。

どんな理由があっても人に暴力を振るっていいわけがないのだが、その行為は日増しに増え、いつ殴られるのかわからない状況で夜も眠れない母娘…その恐怖に耐えられず、妻は離婚を申し出るが、世間体を気にする夫は「死んでも離婚はしない」と応じず、また暴力を振るう。

意を決して、夫が寝ている隙に家を出ることに成功し、シェルターとして機能するお寺に逃げ込んだ母娘。このシェルターは、悩みを抱える人たちに寄り添う庵主が運営する尼寺で、逃げ場のない女性や子どもがいつでも頼りにできる場所だった。

「この作品は、レディースコミックで随分前に連載されたフィクション作品ですが、電子書籍化することで今の読者の方にもいろいろと考えるきっかけになるのではないかと思いました。ダイナミックな描写が多く、登場人物の言動も昭和っぽかったりするのですが、虐待や家庭内暴力の本質は連載当時から変わっていないように思います。また、主人公の妻が弁護士でありつつ、夫から虐待を受け自己評価が低くなっているのも当時にしてはショッキングな設定だったのではないでしょうか」と同作の担当者は言う。

体だけでなく、心にも深く傷を負うDVは、社会問題として取り上げられるようになっても一向に減ることがない。一人でも多くの方が救われるよう、身近な課題として向き合っていきたい。