レミゼのジャン・バルジャンも

ミュージシャンとしての顔も持ち、ミュージカルへの出演も多い。テレビの橋本しか知らない人は意外に思うかもしれないが、帝国劇場のセンターに立つ男でもある。ミュージカル『レ・ミゼラブル』では、2007、2009年に、映画版ではヒュー・ジャックマンが務めた、同作の主人公・ジャン・バルジャン役を演じている。ミュージカル業界では、『オペラ座の怪人』のタイトルロールと双璧をなす大役だ(ちなみに、私が初めて橋本のバルジャンを観た日、マリウス役は山崎育三郎だった)。

『レ・ミゼラブル』のハイライトシーン。センターが橋本 写真提供/東宝演劇部
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個人的にとくに好きなのは、ディズニー/ピクサーの長編アニメーション映画『リメンバー・ミー』(2018年)のデラクルス役の吹き替えである。胡散くさい歌声(褒めてます)が最高だ。松たか子の相手役を担った、ミュージカル『ジェーン・エア』(2009、2012年)のロチェスター役もダンディかつ、セクシーだった。

なお、ミュージカル『ミス・サイゴン』では、狂言回し的な役柄・エンジニアを演じている(2004、2008、2009年)。作品の舞台は1970年代のベトナム戦争末期。エンジニアは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でキャバレーを経営しながらも、いつかアメリカへ行くことを夢みているが、橋本のエンジニアは、「この人、死ぬまでアメリカに行けなそう」と評判だった(個人の見解だが、市村正親のエンジニアは、きっとアメリカに行けたのではないかと考えている)。

『ミス・サイゴン』のエンジニア役 写真提供/東宝演劇部

そんな橋本を初めて取材したのは、2010年2月10日のことである。舞台のプロモーションでのインタビューだった。日付まではっきり覚えているのには理由がある。その取材のあと、橋本は、フジテレビ『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングへの生放送での出演を控えていたのだ。舞台に関する取材はユーモアを交えながら、小気味よく答えてくれた橋本だったが、この後の生放送について話をふると、「ほんと緊張しているんですよ」と心細そうな表情を浮かべた。「役者なんで、台本があればなんでもやりますが、生放送とか慣れていなくて……」。当時はまだそのような言葉はなかったと思うが、まさにギャップ萌えだった。

今回、この記事を書くにあたって、所属事務所に簡単なコメントを依頼。駒場をどのような気持ちで演じているか尋ねたところ、「駒場は、どんな状況でもゆるがぬ心でMERに的確な指示を出せるおじさん。正直、橋本さとしはドッキドキなんですけど…ね」と返答をもらい、パソコンの画面に向かってひとり吹き出してしまった。カラダは大きい(身長184センチ!)けれど、ちょっぴりシャイなおじさまなのだ。

なお、橋本は、来年2月に世界初演される、舞台版『千と千尋の神隠し』で、釜爺を演じることが決まっている(田口トモロヲとのWキャスト)。「そう来たか! ナイス!」と膝を打った。

橋本さとし/舞台『千と千尋の神隠し』コメント 出典/Tohochannel

今から楽しみでならないが、まずは、いよいよ佳境を迎える『TOKYO MER〜』が気になるところだ。城田優が演じるエリオット・椿って何なのか。MERは解散させられるのか。赤塚知事の体調は大丈夫なのか、駒場室長はどうするのか……。

8月29日の橋本さんツイートも意味深…

なお、最後はやはり橋本のコメントで締めたいと思う。『TOKYO MER~』に出演して、感じたことという問いに対する返答だ。

「骨太であつくて人と人との絆を描いた作品に参加できてとても光栄に思っております」

あくまで謙虚な橋本。もしかしたら彼が演じる「駒場さん」も、危機管理対策室を一歩出たら、橋本本人のようにチャーミングな一面があるのかもしれない。そんな風に想像をかきたてられる『TOKYO MER~』は、いよいよクライマックスを迎える。

最終回に向け最大の危機が迫りそうなMER。駒場室長の活躍も見逃せない (c)TBS