関西弁の陽気なおじさん

で、8月29放送の第9話である。この回は、前述の駒場室長がメインのひとりといってもいい回だった。見せ場が続出なのだ。病に倒れた都知事の見舞いに訪れた際のスーツ姿の凛々しさよ(業務中は指令本部の赤いユニフォームに身を包んでいる)。さらに、鶴見辰吾演じる厚労省の役人・久我山秋晴に「あなたはレスキュー隊のことを何も分かってない」と啖呵を切るシーンなど、冒頭紹介したような感動の声もSNSに飛び交った。

倒れた赤塚知事(石田ゆり子)のお見舞いに訪れた駒場室長 (c)TBS
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で、その駒場を演じているのが、橋本さとしである。主役から脇役まで演じきる、芸歴30年を超えるベテラン俳優だ。

橋本は、朝ドラ『なつぞら』、TBS『ブラックペアン』『下町ロケット』などへの出演、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』のナレーションなど、お茶の間でもおなじみだが、主なフィールドはどちらかといえば、舞台だと思う。筆者は四半世紀を超える舞台ファンであり、橋本の舞台は数えきれないほど観ているが、最初、この『TOKYO MER』で画面に映る橋本を観たとき、それが彼だと確信できず、番組の公式ホームページを確認してしまった。私の橋本への愛が足りないと言われたらそれまでだが、それほどこれまでの橋本のイメージと違っていたのだ。「どういうこと?」というあなた、動画サイトなどで、橋本のインタビュー動画を検索してみてほしい。関西弁の陽気なおじさんが、そこにはいるはずだから!

たとえば、朝ドラ『なつぞら』では、アロハシャツがトレードマークの制作進行役・荒井康助をコミカルに演じていた(これぞ、筆者の橋本のイメージである)。そもそも橋本は、ハイテンションな作風で知られる、関西発のエンタテインメント集団「劇団☆新感線」で初舞台を飾り、同劇団に8年間所属。小劇場界で名を馳せた(って、今や1演目で約10万人を動員する「劇団☆新感線」を、小劇場というのもおかしな話だが、1980年、90年代は関西発の人気の小劇団にカテゴライズされていた)。劇団が大劇場へ進出し急速に成長を遂げる中、橋本は『BEAST IS RED~野獣郎見参!』で主演を務めるなどし、その後、退団しフリーに。その後は数々のプロデュース公演やドラマ、映画で活躍の幅を広げて来た。

さまざまな役柄をこなす実力派だが、どちらかといえば、「豪快」なイメージが強く、また、小悪党的な役柄もうまい(褒めてます)。だから、駒場のような“笑わない”役柄はとても新鮮だ。