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9月5日 物理学者ルートヴィッヒ・ボルツマン死去(1906年)

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1906年の今日(9月5日)、統計力学の基礎を築いた物理学者のルートヴィッヒ・ボルツマン(Ludwig Eduard Boltzmann,1844-1906)がこの世を去りました。

 

オーストリアのウィーンに生まれたボルツマンは、生まれ育った地にあるウィーン大学でヨーゼフ・シュテファンのもと物理学を学びました。卒業後はグラーツ大学、ウィーン大学といくつかの大学の教授職を転々として、最終的にはミュンヘン大学に落ち着き、亡くなるまで教鞭をとり続けました。

ボルツマンの師であるこのヨーゼフ・シュテファンはボルツマンとともに「黒体が単位時間当たりに放射するエネルギーの総量は黒体の温度の4乗に比例する」というシュテファン・ボルツマンの法則に名を残しています。

ルートヴィッヒ・ボルツマン(Ludwig Eduard Boltzmann,1844-1906) photo by GettyImages

様々な業績を残したボルツマンですが、その最も顕著な業績は理論物理学における統計力学の基礎づくりでしょう。

ウィーン大学卒業からわずか6年後の1872年、彼は気体分子の分布関数を決定するための基礎的な方程式を考案しました。この方程式は彼の名前をとって「ボルツマン方程式」と呼ばれます。

彼はこれを用いて先達のジェームズ・マクスウェルが考案した気体分子運動に関する分布(マクスウェル分布)を修正した「マクスウェル・ボルツマン分布」を提唱します。

この「マクスウェル・ボルツマン分布」とは古典力学に従う理想気体が熱平衡状態で示す分子の各状態の確率分布のことで、さらに彼はこれを足がかりに、気体分子の速度分布に関する定理である「H定理」を提出しました。

ボルツマンはこれらの研究をさらに深め、1877年に「エントロピーの増大は分子運動の確率的性質による」ということを明らかにし、これを熱力学的な確率の関数と定義しました。「S=klogW」というボルツマンの原理は非常に有名なものです。

このボルツマンの偉業により、原子や分子の運動を統計的に取り扱うことで物質の性質を説明しようとする学問分野である「統計力学」が基礎づけられました。

このように物理界における巨匠の一人であると言っても過言ではないボルツマンですが、晩年は神経症に苦しみ、病気療養中の1906年、イタリアの避暑地でピストル自殺によって亡くなりました。62歳でした。

オーストリア・ウィーンにあるボルツマンの墓。「S=k log W」の式が墓に刻まれている。 photo by GettyImages

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