ドイツの異常なコロナ対策「3つのG」の登場で社会の分断は深まるばかり

「ワクチンは強制ではない」と言うけれど

保健大臣の特権が延長された理由

ドイツでは、元来、医療は州の管轄だ。これまではそれで十分間に合った。

北のどこかでインフルエンザが流行っても、それが南でも流行るわけではない。また、教育も州ごとの管轄なので、学級閉鎖などが必要になっても、それぞれの自治体で対応すれば事が済んだ。そもそも必要がなかったため、州の首相も感染症についてはたいして強い権限は持っていなかった。

ところが、2020年の初め、得体の知れない新型コロナがあっという間に全国に広がり始めた。広域感染では州ごとに対策を打っても効果が薄い。日本で県境を超えて通勤している人が多いのと同様、ドイツも州の間の往来が多い。

そこで、これは全国規模で対応しなければならないということになり、従来の「感染症予防法」を加工して、これまで大した権限を持っていなかった連邦(国)の保健大臣に権限を持たせた。そして、国会が、「今は全国規模に感染が広がっている状況である」と判断すれば、その保健大臣が全国均一で、国民の基本的人権を制限するような厳しい規制さえ掛けられるようにしたのである。

Gettyimages

とはいえ、中央への権力の移譲というのは、その中身が何であれ、州政府が一番嫌うところだ。ドイツは19世紀の終わりまで多くの領邦がひしめいていた国であり、今もその地方分権の伝統に強く拘るところがある。そこで、保健大臣への権限の移譲は3ヵ月を期限とすることにした。

3ヵ月経ったら、感染状況がまだ本当に全国規模で広がっているかどうかを国会で審議する。そして、広がっている場合だけ、保健大臣の特権が延長されるわけである。

これに関する法的整備がようやく整ったのが2020年11月。それ以後、「感染状況が全国規模で広がっているかどうか」が3ヵ月ごとに審議されてきたが、今年の春の段階では、この措置は6月末で終了すると見られていた。だから、これが再び9月末まで延長された時、皆が、「あれ?」と思った。

 

9月末には総選挙がある。このままいくと、選挙戦中にも様々な規制が続く恐れがある。そうなれば、野党にとっては圧倒的に不利だ。行政に関わっていないからメディアへの露出は少ないし、大規模政治集会は制限されているし、手足を縛られたまま戦わされるようなものだ。

それに比べて与党であるCDU/CSU、SPDには大きなマイナスはない。これが政府の狙いではないかと、少なからぬ人々が疑った。

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