急増する「墓じまい」でトラブルを引き起こす「離檀料」…気になる“その相場”
増え続ける無縁墓と改葬
墓じまいを終えた人は、ひとまずホッとしていることでしょう。

墓があれば、その墓を守っていかなければなりません。
守るためには、管理料を払い続けなければなりませんし、墓参りをして、その墓を掃除する必要もあります。
その際に、墓がどこにあるかで、しなければならないことが変わってきますが、地方自治体の墓地や民間霊園にあるというなら、管理料を支払い、墓自体の掃除をすれば、それで墓についてやるべきことは終わります。
ところが、墓が寺の墓地にあるというなら、事情は変わってきます。それは寺の檀家になっているということです。寺は寺檀関係を結んだ菩提寺になります。管理料を支払うだけではなく、寺の建物を修理するなどの際には、檀家がそれを負担しなければならないこともあります。
そうした面倒を避けたいがために、現在では墓じまいをする人たち、あるいは家が増えています。
墓じまいは、その墓の管理者が自発的に行うものです。
それに対して、管理する人間がいなくなる、あるいは、意図して管理を放棄するケースもあり、その場合には、墓が放置され、「無縁墓」になっていきます。
無縁ということばは仏教に由来するもので、本来は、仏の教えに縁がないことを意味します。有り難い教えに接してない、それが無縁です。そこから転じて、現在では弔ってくれる縁者がいない死者のことをさします。
厚生労働省による「衛生行政報告例」には、無縁墓になった数や(遺骨を新たな墓や納骨堂に納めなおす)改葬の数が示されています。
無縁墓になって撤去された数は、2009年度で2675件でした。それが2018年度では4033件と増えています。およそ1.6倍になったことになります。
改葬の件数の方は、2009年度で7万2050件だったのが、2018年度では11万5384件に増えています。こちらも、およそ1.6倍に増えています。
改葬は、古い墓の墓じまいを伴うはずですから、無縁墓として処理されたものを加えると、2018年度では12万件近い墓じまいが行われていることになります。