熱海・土石流災害で「新局面」 遺族の刑事告訴が“災害列島”日本に問うもの

“悲惨な災害”で終わらせてはいけない

前・現所有者を刑事告訴

発生から約2カ月が経過した熱海土石流災害が、新局面に入った。

8月31日、国会で「第1回熱海土石流問題 野党合同ヒアリング」が行なわれ、冒頭、「熱海市盛り土流出事故被害者の会」の代理人を務める加藤博太郎弁護士が、こう経過を説明した。

発言する加藤弁護士

「熱海署の方に、前・現所有者を刑事告訴、(17日の提出から)わずか10日で受理されました。異例のスピードです」(※「前所有者」は崩落の起点にあった盛り土を造成し、「現所有者」は現在、その土地を所有している)

確かに、土石流の被害を拡大させた原因が、斜面に土などを盛って平らにする盛り土にあり、その責任は、届け出以上の量を投入、適切な排水設備を施さず、産業廃棄物まで投棄していた前所有者と、そうした状態を知りつつ購入、放置してきた疑いのある現所有者にあるのではないか、と指摘されてきた。

ただ、静岡県の土採取等規制条例などの規制する条例はあるものの、条例違反の盛り土を強制撤去させるような法律や、業者の刑事罰を問うような法律はない。県条例には、業者に防止措置を取るよう命令できる規定はあるものの、命令に違反したところで20万円以下の罰金にとどまる。そのため「刑事事件には馴染まない」と、されてきた。

しかし、「被害者の会」と弁護団は、「天災ではなく人災」であるという意識のもと、売買から約10年が経過しているという時効のカベを乗り越え、捜査権力に全容解明を託す手段として、前所有者を業務上過失致死の疑いで、現所有者を重過失致死の疑いで刑事告訴した。刑事告訴は静岡県警にとって、「渡りに船」だったという。

「27人もの死者・行方不明者が出ている(9月1日現在)事故です。放置はできないと、県警は熱海署に捜査員を集めて準備してきました。告訴状があれば捜査に入りやすい。致死罪の立件は難しいかも知れませんが、気合いを入れて捜査するハズです」(警察担当記者)

photo by gettyimages
 

既に、両氏の行状は、新聞、週刊誌などの報道で、かなり報じられている。前所有者は小田原の不動産会社を経営し、今回の熱海市伊豆山だけでなく、過去にも崩落が起きているし、現所有者もまた建設業を柱に学校法人、宗教法人、太陽光発電と数々の事業に手を出し、脱税逮捕の履歴もある。

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