旭酒造の獺祭[Photo by gettyimages]
# 酒造

5年で給料を2倍に…「獺祭」の蔵元・旭酒造が掲げた、凄すぎる「海外戦略」

ライバルは日本酒ではなく「白ワイン」

コロナ禍にもかかわらず、過去最高の売上高を更新する酒蔵がある。「獺祭」で知られる、山口県岩国市の旭酒造だ。

多くの酒蔵が打撃を受けた中、「獺祭」はいち早く景気回復した中国向けなど海外事業がけん引し、2021年9月期の売上高は過去最高の140億円を突破する見通し。3代目の桜井博志会長は、杜氏を置かず、技術を数値化した生産管理で、高品質の酒を工業製品のように精緻に醸して安定供給するビジネスモデルを構築した。

旭酒造3代目の桜井博志会長(筆者撮影)
 

その結果、生まれた「雑味がない」「フルーティで飲みやすい」酒は、日本酒を飲まなかった若年層にも浸透、業績を飛躍的に伸ばした。将来は海外事業の比率を引き上げ、国内との比率を3対1とする目標を持ち「いつまでも地方の中小ベンチャー企業の気分でいては、本気で世界は狙えない」(桜井会長)と真のグローバル企業化を目指して、キャッチフレーズを「山口の山奥の世界一の酒蔵」に変更、社員の給与を今後5年で倍増させるという。

日本酒を経済学の視点からとらえ、ワインの真似ではない、新しい文化を作る。その挑戦に成算はあるのか。

あのロブションが感嘆した「精緻な酒造り」

「獺祭」は、傾きかけた旭酒造を引き継いだ桜井会長が新たに作った銘柄だ。それまで少なかった「純米大吟醸」に特化するとともに、50~60%が一般的だった精米歩合に着目した。酒米として評価の高い「山田錦」を23%まで磨いた飲みやすさを特徴に、1992年には東京へ進出している。瞬く間に人気を博し、設備増強を重ね、2015年の地上12階建ての酒蔵ビル竣工で生産量は年間3万5000石(630万kl)に拡大した。

東京進出時から取引がある大手酒販店社長は「すっきり飲みやすい現代的な酒として、日本酒を知らない層に一気に訴求した。白ワインのように飲める酒としてワイン通にも浸透した」とみる。

関連記事

編集部からのお知らせ!
SPONSORED

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/