寝ていたところを、元妻に大声で洗面所に呼びつけられた坂本さん。何事かと聞くと、元妻はシンクの排水溝を指差しながら、「マウスウォッシュが排水溝に垢を作るから、マウスウォッシュは使わないで」と彼に命じたという。その瞬間、坂本さんの頭のなかでプツンと糸が切れた。

この出来事は大喧嘩に発展したが、それ以降、2人は週末も一緒にいることがなくなり、お互いに口をきかなくなる。結婚してから3ヶ月後のことだった。

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どうしても家に帰りたくない

家庭内別居のような状態が続いていたある日、仕事が終わった坂本さんは、どうしても家に足が向かなかった。

家庭があるのに、どうしても帰りたくないんですよ。これは致命的だと思いました。ひとまず別居をして、様子をみることにしました」

〔PHOTO〕iStock

実家に戻った坂本さんは、びっくりするほどの解放感を味わった。元妻なしの生活は、これほどまでに楽しいのか、と。それでも、離婚には悩んだ。元妻と結婚を続ける意味は見い出せなかったが、「一生独身でいるかもしれないという不安が心のどこかにあったから」だという。

3ヶ月ほど悩んだ末、離婚することに決めた坂本さん。結婚していた半年間に自分が積み上げてきた貯金、生命保険、確定拠出年金を2等分した金額に、100万円を上乗せした資産分与を元妻に提示した。彼女は少し悩んだようだったが、離婚に合意したという。100万円を追加したのは、坂本さんの罪悪感だった。

「男性がバツイチになるのと女性がなるのでは社会での受け止められ方が違うので、彼女には申し訳ないという気持ちがありました。彼女は仕事もしていませんし……」