フリーアナウンサー中村仁美さんのFRaU Web連載「騒がしくも愛おしい日々」(毎月1回・第1水曜日更新)。さまぁ~ずの大竹一樹さんとの結婚後、母として、妻として、そして一人の女性として、感じたこと、考えたことを、中村仁美さんならではの目線で綴っています。

今回は、“親スイッチ”や“やる気スイッチ”など、誰にでもあるけれど、ONになるタイミングはさまざまな「スイッチ」について、先日の長男くんのエピソードとともに綴ってくださいました。

ONにしたくてもなかなかならない、人に背中を押されてONになるわけでもない、そんなスイッチがある日突然ONになった時、人はどれだけ変わるのでしょうか? また“押してはいけないスイッチ”をONにしてしまったこともあるようで……? 記事の最後まで中村さんの文章をお楽しみください。

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「親スイッチ」がONになるタイミング

先日、お子さんが産まれたばかりの男性と話していたら、「やっと少しずつ可愛いな、って感じるようになりました」と。
ようやく生後3ヵ月を迎えたくらいでしょうか?
その方曰く、勿論それまでも可愛いと思っていた。自分の子供なんだから可愛い存在だ、ということは分かっている。でも……。

え? 父親だよね? じゃあ、それまでどうだったの??と、不審に思われる方もいるかもしれませんが。

子供が産まれたその瞬間から、すぐに慈愛に満ちた“親スイッチ”が入るわけではありません。
よく聞くのは、自分と似ているところを発見したときに“スイッチ”が入る、と。
未婚の男友達ですら、甥っ子の足の指の形が自分と同じだ!と発見したとき、自分は親ではないが、これはまさしく自分の遺伝子も引き継いでいる、と確信し、そこから異様に可愛く感じるようになったと言っていました。

夫も、長男は生まれた時から自他ともに認める夫似だったことから「なんだよ、嫌なところばっかり俺に似やがって」と、呟きながら、それまで一度も見たことのない柔和な顔で、長男を抱っこしていたのを思い出します。
似ている!と、思ったその箇所が、本当に遺伝子の影響かどうかは別として、血の繋がりを感じた時、その存在が無性に愛しいと感じる。
それもスイッチの入る瞬間の1つ。

どの年齢でも夢中になれるブロック! お気に入りにのリュックを背負ったまま遊ぶ次男が愛しすぎる! 写真提供/中村仁美

「赤ちゃん、奥様に似ているんですか?」と尋ねると
「いや、よく目が僕に似てるね、って言われるんですが……うーん、そんなもんかな、と。それより最近、ダッコしたときに、ニコって笑ってくれるようになって。だんだん自分のことを認識できるようになったのかな? それがめちゃくちゃ可愛くて」
訳もなく、本能的に心から溢れ出るような愛しい気持ちになったのは、こちらに笑顔を向けてくれるようになってからだ、と。

すごくよく分かります。
自分に向けられた、一点の曇りもない、純粋無垢なその笑顔。
血の繋がり云々ではなく、この広い地球上で、目の前のこの儚い命を守れるのは自分しかいない、そしてその全権をこの子は自分に委ねている、と感じた時。
これもまた、スイッチの入る瞬間。

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私も次男が産まれた時、入院中、確かにこの子も自分の可愛い息子なんだけど、でも私の息子は長男だけのはず、と、なんとも不思議な気分でいたのを思い出します。紛れもなくこの子もさっき自分が産んだ子なのに。
そんな私の言葉を聞いて、実はとても心配していた、と入院中にお見舞いに来てくれた後輩に、時を経て告白されたことがありました。

私の場合、どんなタイミングでスイッチが入ったかと言うと、退院後、新生児の1ヵ月間、昼夜問わず自宅でべったりとお世話をする日々を過ごし、気が付くと、愛しさ全開になっていました。そこからは毎日愛が増し増しです。

積み重ねた時間が、知らず知らずのうちにスイッチをONにする、これもまたその1つ。