「いまの子どもたちはジェンダー平等やダイバーシティ教育を受けているから、私が子どものころよりもジェンダー役割から自由になっている気がします。夫婦同姓の強制を知った子どもは『自分は姓は変えたくないし、変えさせたくもない』と言っていますし、先日は、『見られたくないのもあるし、見たくないのもあるから、女子だけでなく男子の更衣室も設置すべきだ』と署名活動をして小学校に更衣室を設置してもらっていました。

子ども世代でジェンダー意識が高まっているからこそ、彼・彼女らが結婚する頃にまだ別姓が選択できないような社会であってほしくない。現在は一人っ子も少なくないので、選択肢があるのが当たり前の社会にしたいです」

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自分が幸せかどうかは他人が決めることではない

「なぜそこまでして自分の姓にこだわるのか」とよく聞かれるという佐藤さんは、その答えをこう語る。

「好きな色や食べ物があるのと同じく、『単に自分の名前が好き』じゃいけないんでしょうか? 

また、『夫婦が別姓にしたら子どもがかわいそう』と言う人もいますが、私も夫も“自分が幸せかどうかは他人が決めることではない”と思っています。かわいそうと思うなら、かわいそうにしている社会や制度を変えるべきではないでしょうか。 

事実婚のほかにも、離婚や再婚等によるステップファミリーや里親になるカップルなど、多様な家族が現実社会の中に存在します。多様な家族が社会に受け入れられやすくするため、そして、誰もが自分の名乗りたい名前で生活できるようにするために、選択的夫婦別姓を一刻も早く導入するべきではないでしょうか」

〔PHOTO〕iStock

最後に、佐藤さんは切実な思いを明かしてくれた。

「私の故郷は東日本大震災の被害を受けた土地だったことから、それが最後だと思わずに『またね』と言って別れた人と、もう会えないことがあると実感させられました。

大きな災害で混乱しているときに、法的に配偶者でなかったら、お互いに連絡すら来ないかもしれません。あるいは望まぬ改姓をしたとして、通称を使い続けていたら、住民票に基づいて公表された氏名では、私だと気づいてもらえないかもしれない。そんなことも思います」