年末に結婚、御用始めの日に離婚を繰り返す

そこで苦肉の策として、佐藤さんの年収が配偶者控除の金額以内の場合は年末に婚姻届けを、新年明けに離婚届けを出すことに決めた2人。法律上の婚姻関係は1週間ほどだが、税務上の扶養は12月31日に計算されるから配偶者控除が適用になる。

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この決断について佐藤さんはこう話す。

お金の問題というより、事実婚と法律婚における法的不平等に従いたくないんです。国税庁はひとり親控除(※)については、『納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません』とHPに記載しています。ここでは事実婚も配偶者として扱っているにもかかわらず、配偶者控除における配偶者は法律婚のみ。矛盾していますよね

男女平等を本当に実現するならば、配偶者控除は本来はなくなるべきだと私は思っています。でも、私たち夫婦は本来は法律婚を望んでいたのに、夫婦別姓が可能じゃないからわざわざ事実婚にしたんです。それなのに、事実婚だからといって、税金面で法律婚と同等の権利を享受できないのは納得いきません」

※ 婚姻しておらず、かつ合計所得金額が500万円以下の人が一定の要件に該当した際に受けられる所得控除。
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「これはママじゃない!」と言って泣き出した子ども

佐藤さんの子どもは、「夫の姓のほうが名前の響きがよい」「子どもは夫の姓にしたほうが周囲との軋轢を生まない」という理由から夫の姓にした。2、3歳の頃からママとパパの姓が違うこと、子ども自身とママの姓が違うことを教えていたが、本人は意識せず、よその家が夫婦同姓であることも知らないようだったという。

けれど、子どもが小学校に入る時にある出来事が起こる。

学童の役員名簿作成時に、スタッフが気を利かせて、子どもと同じ姓を佐藤さんの姓の後ろに()書きで入れた。スタッフから事前に確認されたとき、()ならいいか、と思った佐藤さん。しかし、のちに名簿を学校で見た子どもが、「これはママじゃない!」と言って泣き出したという。自分の“本来の名前”で生きられないことの不条理を、子どもながらに感じていたのだ。