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「一密」でも感染…「デルタ株」のどこが恐ろしいのか? 最新の研究からわかってきたこと

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第5波到来で全国の感染者報告数が過去最高を更新することが増えている。この元凶と言われるのが新型コロナウイルスの変異株の一種、デルタ株だ。

東京都ではこのデルタ株の蔓延で医療機関の新型コロナ対応ベッドがほぼ満床となり、感染者の多くが自宅療法を強いられている。その中には急激な症状の悪化でも入院治療を受けられず自宅で亡くなってしまう悲しいケースも発生している。デルタ株はどのようのものか、そしてその対策は? 現時点の最新情報に基づき解説する。

デルタ株感染者が持つウイルス量「従来株感染者の1260倍」

大きさ約100nm(ナノメートル)、1円玉の約20万分の1という極めて小さい新型コロナウイルスは、約3万個の「塩基」と呼ばれる遺伝情報で作られている(ヒトの場合は約30億個)。ウイルスはヒトの細胞に感染すると、そこを間借りしてこの遺伝情報を送り込んでコピーし、新たなウイルスを作り出す。

ただ、この遺伝情報のコピーでは一定の頻度でミスコピーが起こる。この偶然のミスコピーでできた数多くのウイルスが変異株であり、その中で弱肉強食を勝ち抜いたものの一つがデルタ株である。

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デルタ株は前述の約3万個の塩基のうちの8個が変異し、そのうち医学的に「L452R」と呼ばれるデルタ株に特徴的な変異がある。この変異により、ヒトの免疫の攻撃から逃れやすくなり、ウイルスのヒトの細胞との結合能力や結合後のヒト細胞内へ遺伝情報を送りこむ能力が高まることが研究から分かっている。

これに加え最近、中国の研究グループが公表した医学誌への掲載可否審査前(査読前)の論文で、デルタ株感染者の体内にあるウイルス量は、従来株感染者の1260倍報告されている。

つまり主要感染経路の飛沫に含まれるウイルス量が従来株より多いため、感染者の周囲にいる人がウイルスを含む飛沫を吸い込む危険性が高まることに加え、吸い込んだ後は免疫をすり抜けてヒトの細胞に結合しやすい。恐ろしいほど感染力が強い条件が揃っている。

このためかつては感染しなかった数分程度のマスクなし会話、不適切なマスク着用者同士の会話などでの感染リスクが高まっている

実際、最近ではデパートの地下食品売り場(デパ地下)、学習塾といった、出入りする人がマスクをして一定の感染対策をしている場所でもクラスターが発生し、家庭内では誰か持ち込めば、家庭内感染で家族全員が感染者になる状況も頻発している。

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