そもそも、ジェオンは「クズ男」なのか
本題に入る前に、確認しておきたいことがある。そもそもジェオンは「クズ」なのか? ということだ。劇中でナビはジェオンに向かって「本当にクズだね」と言っているが、私はジェオンをクズとは思わなかった。
クズとは、自分のメリットのためなら相手が被害を被っても気にしない人間のことだ。
ジェオンはナビが苦しんでいることを気にしていたし、なぜだ?と悩んでいた。そして曖昧な関係とはいえ快楽だけを共有したいわけではなく、体調が悪いナビを心配して救急車を呼んだり、お粥を買ってきたり、眠るナビの手を握ったままベッドに突っ伏して朝までそばにいたりもした。
ただ、言葉に着目すると、危険レーダーが作動しそうな部分は確かにある。
「悪いヤツだと思いたいけどそうでもない?」
「俺の番号を登録しろ。俺は悪いヤツじゃないだろ?」
「恋愛ってしなきゃいけない? 恋愛しないと仲良くなれない?」
「(関係を終わりにするかどうかは)君が決めることだ」
……悪いヤツである。
だが、行動に着目すると、そこまで悪いヤツではない。
相手の気持ちが分からないときは、言葉より行動を見た方がいい。と、私は恋愛相談などでも常々言っている。言葉はいくらでも嘘をつけるが、行動は相手にどれくらいのエネルギーを注ぐ気があるかが如実に出るからだ。
ジェオンはナビを展覧会に誘ったりもする。セックス目当てだとナビが勘違いしていると気付き、「ヤリたいわけじゃない!」と笑いながら言う。セックスなしでもナビと過ごすのが楽しいのだ。
それって、もう恋人同士じゃん! と言いたくなるが、恋人と違うのは、他の異性との関係を黙認しないといけないことだ。だからナビは苦しむ。文句を言える関係ではないんだ、と。ところが後半から、ジェオンの方がナビの異性関係を気にし始める。
というわけで、本題。このドラマに散りばめられている、遊び人が真剣な恋愛をするきっかけになり得る条件を挙げていこう。