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映画を「コンテンツ」と呼ぶことの違和感の正体…イラン映画を見て思ったこと

アマプラで観れる「ほぼ独断」隠れ名作(5)

没後5年を迎えたイラン映画の巨匠、アッバス・キアロスタミ監督の初期の7作品が、10月16日から東京ユーロスペースほか、全国で公開される。それを前に、同監督のジグザグ三部作といわれる『友達のうちはどこ?』『そして人生は続く』『オリーブの林をぬけて』について見どころを作家の高木敦史氏が著した。

小津安二郎の影響を受けたイランの巨匠

こんにちは。映画を見始めたら、冒頭で「この映画は実話に基づいた〜」みたいなメッセージが出てくることってありますよね。個人的な話ですが、あれが少し苦手です。嫌いというわけではなくて、なんか余計なこと知っちゃったな……って損した気持ちになります。ドキュメンタリー映画は好きなんですけどね。

なんていうか、実話に基づいたばっかりにラストで別に死ななくてもいいのに主人公が死んでしまう。別に離ればなれにならなくてもいいのに引き離される。

物語上、特に必要でもなかったり話の軸がブレちゃったりしても「でも実話だから」と言われたら、それ以上あれこれ言うのは野暮に感じます。

この感覚自体は昔から抱いているのですが、最近ふとあらためて考え直す機会がありました。今年のゴールデンウィークに入る直前くらいでしょうか。アマゾンプライムの見放題にキアロスタミ監督の作品が大量に追加されたのは——。

アッバス・キアロスタミ(Photo by gettyimages)
 

アッバス・キアロスタミ監督は、イラン出身の映画監督です。1997年に『桜桃の味』でカンヌのパルムドールを受賞しています。

小津安二郎ファンを公言し、2012年には日本を舞台に『ライク・サムワン・イン・ラブ』を製作しています。2016年に亡くなるまでイランを拠点に活動を続けました。

イランは映画に対する検閲の厳しい国と言われています。政治的なメッセージを匂わす作品は製作中に妨害されることもあるとか。一方「子供の話ならOK」なので、有名なイラン映画となると『運動靴と赤い金魚』や『白い風船』『太陽は、ぼくの瞳』など子供を中心に据えた作品が多く思い起こされるでしょう。

多くの映画監督が拠点を国外に移す中、キアロスタミ監督は基本的にイラン国内での映画製作にこだわり続けました。

作風の傾向としては、物語自体は極めてシンプルで、その余白の中にドラマを想像できること。あまり俳優を使わず、現地の人々をそのまま役者として起用することなどが挙げられます。

今回は、数ある監督作品の中から「ジグザグ道三部作」と呼ばれる三作についてご紹介したく思います。

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