アフガニスタン「現地スタッフ置き去り」問題に揺れるドイツ…日本はどうする

矛盾を孕む決断のもと自衛隊機は飛び立った

難民増加を嫌うドイツ政府

ドイツで一番の売り上げを誇るのが、「ビルト」と言うタブロイド版の日刊新聞。ある程度教養のある人は手に取らないと言われる大衆紙だ。

他紙に比べるとポリコレの縛りが緩いのか、あるいは、叩かれることをモノともしないためか、言いたい放題。だから面白くて大衆に受ける。とはいえ、取材力はかなりのもので、特に政治記者は優秀だ。

前置きが長くなったが、そのビルトの8月17日のオンライン版に、「ドイツ軍のアフガニスタンからの撤退 ビールとワインは搬出 現地スタッフは残留」(https://is.gd/ClLIOn)という記事が載った。いつもながら挑発的だ。

ビルト紙の記事より

アフガニスタン情勢については日本でもかなり報道されているので、ここで繰り返すまでもないだろうが、首都カブールがタリバンの手に落ちたというニュースが流れて、世界が驚愕したのがその前日の16日。以来、国外脱出の望みをかけた数千人の人々がカブール空港に詰めかけ、6000人の米兵をはじめ、NATO各国の兵士が治安維持を試みているが、銃撃戦で死者まで出るという混乱の極みだ。

そんな中、最初の1週間で、米軍は2万8000人を国外に連れ出した。多くは自国民ではなく、米軍のために働いていた現地スタッフとその家族だ。

当然、現在、ドイツ軍も同じことを試みているが、なかなかうまく進まない。実はドイツ軍は、すでに6月30日、アフガニスタンから正式に撤退しているが、その際、現地スタッフの多くを置き去りにした。それについては、現役の兵士や一部の議員が強い抗議を続けていたというが、政府は色々な理由をつけて無視した。

外国軍に協力したアフガン人の現地スタッフは、諜報員はもちろん、通訳であれ、コックであれ、タリバンの手に落ちれば「裏切り者」として真っ先に処刑される運命なので、できるだけ多くを国外に脱出させることが、いわば人道的義務だ。米軍や英軍は撤退を控え、かなり前から相当数の現地スタッフとその家族の引き取りを進めていたという。

 

ところが、難民が増えることを嫌ったドイツ政府が、アフガン政府がパスポートを発行しないからビザが出せないとか、下請けから派遣されてきたスタッフは対象外であるなどとして、意図的に現地スタッフの受け入れを拒んでいたことが明るみに出て、今、大問題になっている。

しかも、再び兵士を戻して開始した救助作戦も難航。保護すべき人々を軍用機でまずウズベキスタンのタシケントに運び、そこからルフトハンザ機がドイツに運んでいるが、23日の時点でドイツに到達したのは1500人。救助しなければならない人が、まだ少なくとも4500人いるという。

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