自衛隊によるアフガニスタンからの「邦人輸送」、実は「大きな問題」があった

空港の外では、何もできない…
半田 滋 プロフィール

前年の2015年12月17日には豪州から購入したばかりの「輸送防護車」を使って、相馬原演習場(群馬県)で「政変で治安が悪化した国で日本大使館に集まった邦人を避難させる」という想定の訓練が行われた。

民間人役の自衛官15人を輸送防護車に乗せ、空港へ向かう途中、群衆に取り囲まれたり、爆弾による攻撃を受けたりした。群衆に威嚇射撃をするのか、相手に向けて撃ってもよいのか、隊員らは瞬時に難しい判断を迫られた。

陸上輸送のために豪州から購入した陸上自衛隊の輸送防護車(陸上自衛隊のホームページより)
 

自衛隊が武器を使えば、相手との間で銃撃戦になり、任務の危険度は格段に増す。自衛隊は何をどこまですべきなのか。明確な指針を打ち立てられないまま、今回のアフガニスタン派遣を迎え、陸上輸送は除外された。

自衛隊機による邦人輸送には空振りもある。

1998年5月、インドネシアの政情不安を受けてC130輸送機6機が現地へ向けて派遣されたが、退避を希望する日本人は民間機などで脱出し、邦人輸送は実施されなかった。前年の1997年7月にもカンボジアへC130輸送機が派遣されたが、やはり邦人輸送は実施されないで終わっている。

だが、現在のアフガニスタンには日本人が取り残され、出国を希望する現地スタッフがいるのは確実だ。

現地の治安情勢は予断を許さない。タリバン戦闘員は空港に続く道路に検問所を設け、「どこへ行くんだ」「家へ戻れ」と銃を向けて脅している。空輸すべき日本人らの空港までの移動が「自助」となり、安全に自衛隊機までたどり着けるのか見通せない。

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