自衛隊によるアフガニスタンからの「邦人輸送」、実は「大きな問題」があった

空港の外では、何もできない…
半田 滋 プロフィール

空港や港湾は入国するまでは外国なので、航空機や艦艇は比較的容易に派遣できるが、一歩、外へと踏み出せば相手国の領域になる。今回、陸上輸送を実施するとなれば、タリバン側の同意が必要との見方があり、政府は現実的ではないと判断したもようだ。

 

陸上輸送が除外された理由

アフガンへの輸送機派遣は、自衛隊法84条の4「在外邦人等の輸送」が根拠法令だ。「当該輸送を安全に実施することができると認めるとき」とのただし書きがあり、緊迫する現地情勢を受けて武器を持った陸上自衛隊中央即応連隊の隊員約100人も同乗している。空港までやって来た日本人らを輸送機に安全に誘導するのが任務だ。

ただし、彼らが武器使用できるのは、自分自身や自己の管理下に入った人を守るためか、機体の防護やハイジャックなど機内で起きた緊急事態に限定される。仮に空港へ向かう日本人が襲撃されたとしても空港外に出て武器を使うことはできない。

安倍晋三政権が安全保障関連法の一部として追加した自衛隊法84条の3ならば、「在外邦人等の保護措置」を認めている。この規定にも現地が安全であること、武器使用にあたり当該国の同意が必要なことなど、混沌とするアフガン情勢下では確認が困難な条件が含まれる。派遣した自衛隊を危険にさらすことにもなり、政府は現実的ではないと判断した。

ただ、自衛隊は陸上輸送を想定して特殊車両を購入し、国内外で邦人輸送訓練を繰り返している。

陸上輸送に使われる陸上自衛隊の高機動車(陸上自衛隊のホームページより)

2016年2月16日、タイで開かれた東南アジア最大級の訓練「コブラ・ゴールド」で陸上自衛隊は窓に防弾ガラスを張った高機動車を持ち込み、「大地震が発生、政情不安に陥った国に取り残された日本人らを避難させる」との想定で訓練を実施した。

避難する日本人を載せた高機動車が小銃で武装した隊員の乗った車両に守られ、深緑色の車列が猛スピードでタイ空軍基地内を走り抜けた。

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