自爆営業が横行しているJA福岡京築

農協職員の「自爆」営業が、全国で横行の疑い

JAグループの闇
JA共済のノルマを達成するため、JA職員に自分だけでなく他人の掛け金まで不当に負担させる「自爆」が全国で横行している。通常の業務を超えて職員に経済的な犠牲を強いることは違法ではないのか。職員が「かんぽ生命の不正販売と大して変わらない」と嘆く、組織を挙げた悪しき営業の実態を追及する。

金融依存から抜け出せないJA

まずは下の表を見てもらいたい。生命保険の保有契約高・総資産と、損害保険の正味収入保険料の大手各社のランキングである。

生命保険の保有契約高・総資産では、全国共済農業組合連合会(JA共済連)が商品の企画と開発をしているJA共済が2番手に付けている。損害保険の正味収入保険料でも、大手損保と肩を並べる数字だ。これだけの業績を挙げられるのは、全国に広がる強力な販売体制があるからだ。

JA共済の商品を営業するのは、全国に562(2021年4月1日時点)ある地域のJAである。JAはJA共済連からノルマを割り当てられると、確実に遂行する。というのも、JAにとってその達成は、経営を左右する死活問題なのだ。

JAは農業協同組合と言いながら、農業と関連の深い営農指導事業や経済事業で黒字になっているところはごくわずかだ。大多数のJAは両事業の赤字を穴埋めするために、共済事業と信用(金融)事業の収益に頼ってきた。

JAがJA共済を普及する動機は、民間の保険会社の代理店と基本的には同じである。販売の実績に応じて「付加収入」と呼ばれる手数料がJA共済連から支払われる。これとは別にJAがJA共済連に出資した配当金も入ってくる。ただ、最近では運用利回りが下がり、配当金は抑えられる傾向にある。このためJAの経営において、付加収入の重要さが増している。

JAに割り当てられたノルマは、支店を経由して職員に降ってくる。これから述べるように、その負担の大きさは尋常ではない。ここからは、私がこの問題を取材するきっかけになったJA福岡京築(福岡県豊前市)を具体例に話を進めていこう。

 

「自爆」するのは常識

JA福岡京築の職員やOBによると、ノルマの多寡は役職で決まる。2020年度の場合、一般職は1万2000ポイント、管理職は1万4500ポイント。ポイントの算出方法は複雑な計算式で成り立っているようで、複数の職員やOBに説明を求めてもはっきりしなかった。ただ、おおむね1ポイントは共済金にして1000円前後に相当するという。つまり1万2000ポイントなら1億2000万円前後の契約を新規に取ってこなければならない。しかも毎年である。

「達成できなければどうなるのか」というのは愚問である。その時は「自爆」するのが常識だからだ。

「自爆」とは、職員が達成できないノルマの分について、自ら掛け金を負担すること。まずは自分がJA共済に入る。それでも達成できないので家族、続いて友人や知人に加入してもらう。そうした他人の掛け金を払うのは勧誘した職員。つまり肩代わりをする。これが自爆だ。

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