2021.08.28
# AI

「自動運転車」は“交通ルール”を破れるか…アルゴリズムが抱える「大きな問題」

『アルゴリズムの時代』より(2)

ネットショップの「おすすめ」、カスタマイズ広告、自動運転、AI医療……生活のすみずみに潜んでいる「アルゴリズム」。だがわれわれはアルゴリズムのことをどのくらい知っているだろうか? 数学者にして人気作家、ハンナ・フライ准教授の新刊『アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか』から、自動運転を例に、コンピュータと人間の共存の問題について、一部編集して紹介する。

 

運転手を助けるべきか、歩行者を助けるべきか

自動運転車にまつわるひとつの問題を考えてみよう。2016年、パリのモーターショーの会場で、メルセデツ・ベンツの運転支援システムと予防安全の責任者クリストフ・フォン・フーゴーは、自動運転のメルセデス・ベンツは衝突事故にどう対処するのかと質問された。

「少なくともひとりは救えるとわかれば、そのひとりを確実に助ける」というのが答えだった。

当たり障りのない回答だ。

[PHOTO]gettyimages

とはいえ、彼はいわゆる昔ながらの衝突事故での対処法を尋ねられたわけではなかった。いわゆる「トロッコ問題」を自動運転車にあてはめるという、興味深くも難解な問題をぶつけられたのだ。

何年か先の未来、あなたが乗った自動運転車は、通りを快適に走っている。そのとき、前方の信号が赤に変わった。ところが、車が故障して、ブレーキがかからない。

もはや衝突事故は避けられないが、自動運転車には選択肢がふたつある。道からそれてコンクリートの塀に突っ込んで、あなたを死に至らしめるか、あるいは、そのまま直進して、あなたの命を救い、その代わりに、道を渡ろうとしている歩行者を轢き殺すか。

自動運転車をどちらに設定しておくのが正しいのだろう?

1000人いれば1000通りの意見があるはずだ。

できるだけ多くの命を救うべきだと言う人もいるだろうし、車に乗っている人に運命を受け入れてもらうと言う人もいるはずだ。

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