医師たちも衝撃を受けた千葉の新生児死亡事例

想像してみてほしい。

妊娠中はちょっとした体調の変化もいつも以上に心配になる。そんなときコロナに罹患し、熱や息苦しさなどつらい症状が出ていて入院を希望するもの、空きがないと言われる。コロナの苦しさ以外に、お腹の張り、出血が現れる。再び入院を訴えるもの、県と市が複数の病院に受け入れ要請をしたが、すべて断られる。しばらく経つと、お腹の張りなどの腹痛の症状も現れ、再び入院を要請するが、またも複数の病院にあたるが受け入れ先が見つからない。搬送先を探している間に、間に合わず彼女は自宅で妊娠29週(8カ月)で出産をした。

報道によると、出産し、救急隊が来るまで約15分のタイムラグがある。その場に付添の方がいたかは定かではないが、一人暮らしだったと伝えられる女性は、もしかしたらたった一人で不安の中、苦しみながら出産し救急隊の到着を待ち続けていたに違いない……。そして、救急隊到着後、赤ちゃんの呼吸がなく、死亡が確認された。

この報道に多くの医師が衝撃を受け、妊娠中の女性に対して、もっとわかりやすくコロナの情報を配信していこうという動きが出てきている。

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2021年1月、臨月前に1回目、臨月中に2回目にコロナワクチン接種を行ったハーバード医学部助教授、マサチューセッツ総合病院(MGH)の小児精神科医で小児うつ病センター長の内田舞医師の「臨月の女医が語る『私が新型コロナワクチンを接種した理由』」という記事を2月に紹介した。その内田医師も今回の出来事には、胸が詰まったと話す。

「子どもが生まれるのをずっと楽しみにしている中で、コロナに感染してしまったときも、息苦しくなって溺れるように苦しいときも、お腹が大きい状況でこの方は一体どんな気持ちでいたのだろうと想像すると、言葉もありません……。

今は苦しい現実しか見えない時期だと思いますが、どうか無事にこの女性が回復されることを祈っています。そして、少し時間が経った後に、ご自分を責めすぎずに笑顔が戻ってくることを心から祈っています。

今回の出来事に対しては多くの医師も衝撃を受けました。先日、新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する正確な情報を届けるプロジェクト『こびナビ』のspacesでのディスカッションでも、我々こびナビ医師たちの涙ながらの会話になりました。全力で関わった医療者の皆さまも、悔しい思いでいっぱいだと思います。また、この件を受けて医療政策側も早急に動き出してくださっています。本当にこういった事例が二度と起きてはならないと感じています」(内田医師)

今回の出来事で妊娠中の方、これから妊娠を考えていた方たちは不安に思っているに違いない。

内田医師はアメリカが感染爆発し、感染者数が累計で2,000万人を超えた2021年2月にボストンで出産している。医師ではあっても内田医師自身も不安な想いもある中の出産だったと話す。そんな内田医師は『こびナビ』のspacesのディスカッションをモデレートした。その時の話をベースに、デルタ型変異ウイルスが広がる今こそ、妊娠とコロナで知ってほしい情報をに加筆いただきお伝えする。
(以下、内田医師による加筆原稿)

臨月で2回目のワクチン接種をした後の内田医師。写真提供/内田舞