『おかえりモネ』視聴率低迷の原因は、朝ドラヒロインに必要な「2つの条件」にある

山本 奈緒子 プロフィール

第二の吉高由里子は現れるか

このように朝ドラヒロインとは、役との一体性、そして本人の成長のタイミング、という2点を満たしていることが何より重要だと感じます。むしろこの2つを満たしていれば演技力は完璧でなくても良い、とすら言えるかもしれません。

もちろん、この2つの条件を満たしており、かつ演技力もある人がいればそれがベストでしょう。そしてそんな奇跡のようなヒロインも、過去には何人かいました。その中でも、近年で私が個人的にナンバーワンだったと感じている存在がいます。それが、今や若手トップ女優となった吉高由里子です。

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彼女は2014年の朝ドラ『花子とアン』で、『赤毛のアン』の翻訳を手がけた村岡花子という女性の半生を演じました。まだまだ女性が教育を受けることが一般的ではなかった時代に、貧しい農家に生まれながらも女学校へ進み、英語を学び、やがて『赤毛のアン』という名作と出会い翻訳家として自立していく……。まさに、夢と女性の自立の両方を成し遂げてみせるという、女性にとってはたまらないストーリーです。

それだけにこのヒロインを演じる女優は、花子と同じだけの向上心とエネルギッシュさを要求されていましたが、吉高由里子はまさに花子そのものでした。

彼女はこの頃、すでに人気女優としての地位を確立していたものの、今後を考えると実は厳しい時期に突入していました。というのも彼女がそれまで得ていた評価は、どちらかというと男性が主人公の相手役、という立ち位置でのものが多く、本格的に自分が引っ張る作品となると、この朝ドラが初めてに近かったと思います。

それだけに本人の気合いも相当なものだったようで、その上を目指す気持ち、勢い、必死さというものが、見事に花子と重なっていました。かつ、充分な実績に裏打ちされた演技力もあった。まさに、役との一体性、本人の勢い、そして演技力という、奇跡のコンビネーションが実現したタイミングだったと思います。

そんな朝ドラヒロインの全条件を満たした『花子とアン』は、後半になるほど視聴率を上げていき、終わってみれば全話平均視聴率22.6%。過去10年で最高という素晴らしい成績をおさめました。私にいたっては、今もって、再び『花子とアン』のような作品が現れないかと待ち望んでいるほどです。

かくも難しい朝ドラのヒロイン。今年、某情報サービス会社は「次に朝ドラのヒロインをやってほしい女優」というWebアンケートをとっていましたが、そこに名前が挙がっていたのは浜辺美波、今田美桜、橋本環奈、川口春奈、森七菜といった面々でした。この中から視聴者を惹きつけてやまない奇跡のヒロインは生まれるか? 大いに期待して見ていきたいと思っております。

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