2021.08.20
# 宇宙科学

「宇宙の始まり」に行ってみたら、私たちは“10億分の1”の奇跡の存在だった

村山斉の宇宙をめぐる大冒険(3)
コズミックフロント プロフィール

ビッグバンの「釜」で素粒子が生まれた

ビッグバンの時にどのように素粒子は誕生したのか。室町時代にポルトガルから伝わったとされる金平糖で例えてみます。

金平糖は、大きな釜に、イラ粉という小さな粒を入れて、その周りに砂糖の蜜を絡めていくことで、あのいがいがのある形になります。必要なのは熟練の職人技。触れないほどの熱い釜に少しずつ蜜を加え、焦がすことなく水分を飛ばして、金平糖の独特の「いが」を作り上げていきます。しかも1日に大きくなるのは、わずか1ミリ。それを2週間以上もかけて大切に育てて、やっと金平糖が出来上がるのです。

大きな釜を使って作られる金平糖/NHK提供
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宇宙の始まりのビッグバンも、金平糖の釜のようなものでした。温度は、はるかにはるかに高くて100億度以上。その釜の中で素粒子が生まれたのですが、蜜の代わりに素粒子の原料になったのは温度のエネルギーです。エネルギーが姿を変え、素粒子として現れたのです。

なんとも不思議な話ですが、ミクロの世界ではそういうことが起きるのです。金平糖の場合は1種類作るだけでも完成まで2週間以上もかかりますが、素粒子の場合は、ほんの一瞬の出来事。ビッグバンで宇宙が始まってから1秒もたたないうちに、宇宙を形づくる全ての素粒子が姿を現したのです。

でも、ここで不思議なことが起こります。ビッグバンで生まれたのは素粒子だけではありませんでした。双子のきょうだいのように、そっくりな「反素粒子」といわれるものも同時に生まれたのです。

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