2021.08.20
# 宇宙科学

「宇宙の始まり」に行ってみたら、私たちは“10億分の1”の奇跡の存在だった

村山斉の宇宙をめぐる大冒険(3)

「我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか」

この根源的な問いに、世界の最先端を行く物理学者・村山斉さんが、分かりやすい例え話を使って解説する「村山斉の宇宙をめぐる大冒険」。最終回は、私たちが今この宇宙に存在できる理由について。村山さんと一緒に日本の伝統文化に触れながら、宇宙の始まりに起きた不思議な出来事に迫ります。(コズミックフロント取材班)

物理学者の村山斉さん/NHK提供
【プロフィール】
村山斉(むらやま ひとし) 
カリフォルニア大学バークレイ校教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構教授。1964年東京生まれ。素粒子物理学の第一人者で、宇宙の謎に対する、分かりやすくて面白い講演も人気の理論物理学者。
 

宇宙も地球も私たちも元素でできている

「宇宙になぜ私たちが存在しているのか?」このとても素朴な疑問に答えるために、まず私たちの身近なものから見ていきましょう。

私たち人間の体は、およそ60兆個の細胞でできています。細胞はタンパク質や脂質、水などから成り、これらの物質は、窒素、リン、酸素、炭素、水素という「元素」からできています。もちろん体全体を見ると、もっとたくさんの元素が必要で、何十種類もの元素から成り立っています。

元素は今までに118種類見つかっていますが、その中には人間が人工的に作り出したものもあるので、自然の中にある物質を作る元素はおよそ90種類です。全ての物の元になる材料ということで、昔の人は「元素」と名付けました。私たちの身の回りのものは全て、元素の組み合わせでできています。そして元素の正体は「原子」です。原子は真ん中に原子核があり、その周りを電子が回っています。

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