アウシュヴィッツ強制収容所〔PHOTO〕Gettyimages

ホロコーストを生き残った男が「私は世界でいちばん幸せな男」と語る理由

ヒトラーさえも憎まない

第二次世界大戦下、ナチスによるホロコーストに遭い、アウシュヴィッツ他強制収容所から奇跡的な生還を遂げた、エディ・ジェイクさん(101)のノンフィクション作品、『世界でいちばん幸せな男』(金原瑞人訳)が刊行されました。2021年夏、この本を読み、この体験とどう向き合うか。ライター飯田一史さんに書評を寄せていただきました。

 

アウシュヴィッツに送られた男

1920年にライプツィヒに生まれ、現在はシドニーに在住するエディ・ジェイクの著作『世界でいちばん幸せな男 101歳、アウシュヴィッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』(河出書房新社)は、米国Amazon.comで3500人以上が星5をつけ、著者によるTEDxの講演動画は80万回以上再生されている(2021年7月現在)。

エディはナチスからの迫害から逃れるため、身分証明書を偽造して13歳から5年間家族との連絡を一切絶って機械工学を学ぶ学校で過ごし、その後もナチスやベルギーの憲兵隊などに何度も捕まっては脱走をくりかえし、けれどもついにはアウシュヴィッツに送られる。

苛酷な労働と劣悪な生活環境を強制され、ナチス親衛隊によって尊厳と身体を傷つけられ、先がまったく見えない日々からなんとか解放されたエディは、しかし、その後も数年間は「まったく幸せではなかった」という。ところが今では「世界でいちばん幸せな男」だと思っている、と語る。その変化の理由はなにゆえだろうか?

元気のない人、落ち込んでいる人、疲れ果てて感情を失っている人が読むと前向きになれ、自分にとって何が大切なのかに改めて気づく機会となるかもしれない――が、場合によっては絶望する可能性もある(理由は後述する)。

なんにせよ強烈な読書体験になることは間違いない。

関連記事

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/