これがリアルの台湾有事〜上陸侵攻はあり得ない!…が、この方法で来る

ハイブリッド戦はもう始まっている
小川 和久 プロフィール

人民解放軍に台湾上陸能力はない

当然ながら、ミリー統参議長の発言は軍事的なリアリズムに基づいている。

一般的に思い浮かべるのは、ある日、中国の大軍が陸海空から台湾に襲いかかり、占領してしまうという図である。そうした想像を掻き立て、威嚇するために、中国側も武力統一の意志を隠していない。

しかし、そのパターンでの武力統一は成り立たない。

台湾軍の反撃、米軍の来援をはねのけて台湾に上陸し、占領するためには、中国側はおよそ100万人ほどの陸軍を投入しなければならない。米台軍の反撃で半数は海の藻くずとなるからだ。

大規模な上陸作戦を行う場合、私が習った定員1万3000人、車両3000両の旧ソ連軍の自動車化狙撃師団(機械化歩兵師団)の1週間分の燃料、弾薬、食料とともに海上輸送するには、1個師団だけで25万〜50万トンの船腹量が必要というのは、今日でも世界各国に共通する海上輸送の計算式である。

 

船積みは重量トンではなく容積トン(船舶で貨物の積載に必要な容積。1トンの積載能力は40立方フィート=1.1327立方メートルに換算される)で計算するので、人間1人が4トン、40トンの戦車は90トン。100万人規模の部隊だと数千万トンの船腹量が必要ということになる。

中国式に詰め込んだとしても2000万トン以上は必要だろう。そんな海上輸送能力は中国にはない。米国国防総省の年次報告書も、海兵隊を使った中国の強襲上陸能力は兵員1万人と戦車400両としている。

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