2021.09.24
# 組織論

日米開戦80年の真相…山本五十六が「日本必敗論」のウラで「真珠湾攻撃」に踏み切った本当のワケ

大手不動産会社の積水ハウスの地面師事件を覚えているだろうか。同社は2017年6月、地主に成りすました詐欺師に約56億円を騙し取られるという前代未聞の騒動を引き起こした。筆者はその過程で社内でなにが起きていたかを著書『保身 積水ハウス クーデターの深層』にまとめたが、そこからは経営トップたちが保身に走る姿と、そんなトップたちに忠実になりすぎるサラリーマンたちの姿が浮かび上がってきた。いったいなぜ、日本の組織はこうした特性をもってしまうのか。

そうした日本型組織の問題について、いま話題になっているのが『「太平洋の巨鷲」山本五十六』だ。本書を上梓した現代史家の大木毅氏は、いまから80年前、ハワイ真珠湾を攻撃した連合艦隊司令長官・山本五十六の実像を「戦略、作戦、戦術」の3次元で再評価。名将論、凡将論が交錯する山本の真価にたどり着いた作品として話題になっているわけだ。

しかし、そんな彼もまた海軍という日本の巨大組織の一員だった。無残な敗戦に突き進む組織に山本五十六はいかに対峙していたのか――。大木氏に聞いた。

連合艦隊司令長官、山本五十六。Photo/gettyimages
 

「名将」か、「凡将」か…?

――凡将論、名将論が渦巻いてきた山本五十六ですが、そもそもどういう人物だったのでしょうか。

先見性やカリスマ性を兼ね備えた卓越した力を持った人物だったと評価してよいでしょう。非常に優れた戦略家でありました。戦艦が主力だった1930年代から航空兵力の力を見抜き、真珠湾作戦で見事に証明して見せた。

戦略的にも、当時、対米戦争の「日本必敗論」に到達した人物はわずかでした。不本意な戦いを強いられる中でも、緒戦で打撃を与え早期和平に持ち込むという最適解を導き出しました。

山本は、戦いを生業とする軍人でありながら、戦争の回避に努め、にもかかわらず、政治が対米戦を決めてしまったら、連合艦隊司令長官としてわずかでも勝利の可能性を追求して行動したのです。

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