# 不倫

「夫の子じゃなくても、私の子」39歳主婦から義父母と夫への“ささやかな復讐”

亀山 早苗 プロフィール

「家族」とは何か

数週間後、彼女はやはり妊娠していた。上司にいちばんに知らせた。次に夫。私が彼女に会った頃には、お腹の子が男の子だと判明していた。

それから数ヶ月後、無事に男の子が生まれた。義母は驚きながらも、初めて「奈緒子さん、やったわね」と大喜びし、夫は出産に初めて立ち会った。

「生まれた子が上司にそっくりだったから、ちょっと怯えましたが、義母は息子にそっくりだと言っていました。子どもは今年2歳になります。上の娘たちも弟がかわいくてならないみたい。義妹まで面倒をみてくれています」

photo by iStock

夫の子ではないが、長男は家族からの愛情を受け、幼いながらも家族のまとめ役になっているようだ。

「バレたら非難されるでしょうね。でもいいんです。私の子であることには変わりないし、万が一、疑念がわいてもこの子がこの家の跡取りである以上、誰も真実を追求してこないんじゃないかな。それほどたいした家でもないのに、長男にこだわる義父母たちへの私のささやかな復讐かもしれません。そもそも家族なんて血にこだわる必要もないんですよね」

妙に皮肉っぽく奈緒子さんは言った。子どものころから「居心地のよくない家庭」に育ち、婚家でひたすら大家族の面倒を見てきた彼女の思う“家族”とは、「血のつながりより愛情で結ばれた関係であるはず」だという。

 

「上司である彼とは、今もときどきデートしています。子どもにも会わせました。彼は育てられないけど大事に思っていると言ってくれた。それだけでじゅうぶんです」

彼女の行為の善悪を問うつもりはない。彼女が“復讐”だと言うように、これは従来の家族制度にのっとり、それがいちばん幸せだと疑わない人たちへの痛烈な批判なのかもしれないと感じている。

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