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# 不倫

「産まれた子を見て、義母はため息をついた」39歳主婦が苦しむ“望まれない初産”の記憶

夫以外の子を妊娠するケースは、それほど珍しい話ではないと産婦人科医に聞いたことがある。そして意図的に他の男性の子を妊娠しようとする女性もいる。ある種の仕返しなのだろうが、「心から好きな人の子を手元に置きたい」という“せつない”思いがこめられているケースもある。

家を出る口実が欲しかったから

鈴木奈緒子さん(39歳・仮名=以下同)に出会ったのは2年ほど前のこと。ふっくらとしたお腹をかばうように待ち合わせに現れたのが印象的だった。

首都圏にほど近い地方都市に生まれた彼女は、地元の短大を出て就職した。25歳のとき、友人が開いた飲み会に「女子が足りないから来て」と頼まれて行き、知り合ったのがのちに夫となった啓吾さんだ。4歳年上の彼は人懐こく、少年のような純粋な目をしていたという。

「28歳で少年のよう、というのも今思えば幼いだけなんですが(笑)、そのころはいいなと思ってしまった。いずれ家業の不動産関係の会社を継ぐ予定だけど、今はサラリーマンだと本人は言っていました。連絡先を交換しあったら、その日の夜から電話で猛烈に口説かれて……。根負けして3日後に初デートをしました」

待ち合わせ場所に車でやってきて、有無を言わせずドライブデート、夜景が見えるレストランで食事をして、いい雰囲気を作ってそのままホテルに連れ込まれた。典型的な早業である。懇願されるとイヤと言えない奈緒子さんの性格も見抜いていたようだ。

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「初デートのことを話すと強引な感じがしますけど、実際には心地よく引っ張っていってもらった感じが強かった。私自身も彼のことがイヤじゃなかったんですよね」

3回目のデートで「今度つきあう人とは結婚するって決めていたんだ。結婚を前提につきあおうね」と念押しされた。まだ結婚など考えられなかったのが奈緒子さんの本音だったが、早く家を出たい気持ちもあった。

「うちは父が早くに亡くなって、父方の祖父母の家に、母と私と弟が同居していたんです。子どもの頃は知らなかったんですが、父は自殺だった。母がそこに負い目を感じていたのか、祖父母のほうが負い目を感じていたのかわかりませんが、父亡き後、祖母が私たち子どもの面倒をみて、祖父と母が働いていた。

父はひとりっ子だったから、老後のことなど考えると祖父母にも思惑があったんでしょうけど、私にとって家はあまり居心地のいい場所ではありませんでした」

とはいえ勝手にひとりで家を出るわけにもいかなかった。奈緒子さんが正当な理由で独立するには結婚しかなかったのかもしれない。だから啓吾さんのプロポーズを、よく考えずに受けた。「ここでないどこか」へ行けるなら、それでよかったのだ。

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