2021.08.21
# 節約

いま消費税を「5%減税」しても、家計の不安は「解消されない」と言える理由

その分の「13兆円」を有効活用すべき
井手 英策 プロフィール

一方、次の10~12月期には、世帯の消費支出は約24万5000円に上昇した。でも13兆円も費やしたのに、コロナ直前の2019年10~12月期の消費額に及ばない。

通常、年末は消費が伸びる。近年で唯一減少したのが、消費増税と大型台風の直撃が重なった2019年の10~12月期だが、「給付金」後の消費額は、この不振を極めた時期の消費にすら届いていない。

消費減税の「奇妙さ」

それもそのはず、「給付金」は貯蓄にむかった。2021年3月末には、前年の3月末とくらべて約50兆円も現金・預金が増えた(日本銀行『資金循環統計』)。消費を減らし、「給付金」を蓄えた結果、過去に例を見ない急激な貯蓄増が起きたのだ。

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消費減税は「給付金」とちがって所得が増えないから、「給付金」以下の消費刺激効果しかないだろう。だったら、いっそのこと「給付金」を再給付したほうが経済的にはまだよいかもしれない。

むろん、消費が刺激されなくても、貧しい人の暮らしが楽になるならそれもいい。「逆進性」のある消費税の減税は、彼らに恩恵をもたらすかもしれない。

だが、過度の期待は禁物だ。全体を5つの所得層にわけ、下位20%の層に戻る税を試算すると、年額約6万8000円、月額約5600円程度だ(総務省『家計調査』)。生活苦にあえぐ人にとって5600円は大きい。とはいえ、13兆円も使ってこの額か、という失望感は否めない。

それだけじゃない。富裕層にはより多くの税が戻る。富裕層のほうが低所得層より消費額が大きいためで、上位20%の富裕層には、年額約20万円、月額1万6700円の税が返る。これまでの主張からいって、富裕層に低所得層の3倍以上のお金が戻る政策を左派やリベラルが主張するとは、なんとも奇妙な話である。

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