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カオス理論の権威が「数学は誰でも好きになれる学問だ」と断言する理由

『数学とはどんな学問か?』前書き特別公開!

複雑系やカオス力学系といった応用数学の先駆者として活躍されている、数学者の津田一郎さん。この度、ブルーバックスから『数学とはどんな学問か?』を刊行されました。

数学と聞くと「苦手」「自分とは関係ない」「難しいから嫌い」という感覚を持っている人も多いかもしれませんが、津田さん曰く「数学が苦手なのは錯覚」だそう。いったいなぜなのでしょうか?

本書では、数学のごく基本的なところからステップを踏んで「数学の本質」を捉えていきます。"数学の階段"を登っていくと、そこには想像もしなかった広い世界が広がっているのですが――。

数学が嫌いな人はかならず好きになり、もともと数学が好きな人は新しい数学の魅力に気づく一冊です。今回は、本書の前書きを特別公開。まずはこの前書きだけでも、読んでみて下さい!

「初めて信用できるものに出会った」

「大人はいつも嘘をつく」

「大人は子供をだますものだ」

幼い頃、いつも私はこう思っていました。子供をあやすため、子供にいうことを聞かせるために、大人はよく嘘をつきます。子供心に大人の嘘にうっすらと気づいていた筆者は、このことが嫌いでした。

口の中で風船がプーっと膨らんで苦しくなっていくような感覚があったのをよく記憶しています。「大人の言葉を鵜呑みにはできない、何が一番信用できるのだろう」と考えていました。

そんなとき数学(最初は算数でしたが)に出会って、「初めて信用できるものに出会った」という気がしました。さまざまな問題の解き方はあっても、答えは必ず一つ。数学は絶対に嘘をつかなかったからです。

【写真】数学(算数)との出会い数学は、現実の理不尽なことから離れてのめりこめる世界だった photo by gettyimages

ちょっと変わった子供だったのかもしれません。けれど、小説や漫画、アニメの世界にはまっていくのと同じように、私にとって、現実の理不尽で面倒なことから離れてのめりこめる世界が、数学だったのです。

机に5分と向かっていられない子供だった

いまでは数学者となったわけですが、その過程を最初に少しお話しさせてください。
筆者の子供時代を振り返ると、小学校の中学年くらいまでは算数も他の科目も勉強をすごくしたという記憶はありません。野山を走り回ったり、野球をしたり、昆虫採集や魚採りに夢中になったり、雲をぼーっと眺めたりしていました。

母親に「5 分でいいから机の前に座って勉強しなさい」と言われると、勉強をするわけでもなく、時計とにらめっこして5分経ったら遊びに行っていました。そのうち何もしていないことがばれて、「毎日の勉強」という解説付き問題集を渡されたのです。

見ると、国語、社会は字が多い。理科は絵があるのでまだましだが、それでも字が多い。文章を読むのは面倒だなあと思って、算数を見ると、文章が少なく数字と記号だけです。「これは楽だ」と思って、算数だけやっていました。

【写真】算数の問題集算数の問題集ばかりをやっていた photo by gettyimages

これが算数との最初の出会いです。

とくに解説や答えを見ることもなく、ひたすら計算ばかりしていました。それが楽しかった。

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