イギリスやフランス、ドイツもそんなことはできなかったし、欧州の時価総額ランキングを見ても20位くらいはネスレやロレアル、パリバなどほとんどの会社が100年企業です。
ところが、欧州の企業の経営が硬直的かといえば、そうではない。例えばガラケーで先端を行ったNOKIAはアップルのスマホに駆逐されたが、いまはBtoB領域で見事な復活を遂げている。一方で組織が硬直化しやすく、経営者や社員に「保身」のイメージが漂うのが、日本です。
利権に群がる大人たち
――特に今、そのイメージが高まっているのが日本のITゼネコンです。マイクロソフトで情報スーパーハイウェイ時代のITの世界を見てきた成毛さんはどう思われますか。
政府は、デジタル庁を作って統治機構のデジタルトランスフォーメーション(DX)を図っていますが、正直、絶望しています。「ガバメント・アズ・ア・サービス」なんて言っちゃってるけど、行政のサービスってスマホではほとんど何もできないですからね。
コロナ対策でも給付金もまともに届かないし、ワクチン接種システムの混乱を見ても、政府が抱えるシステムがほとんど役に立たないことが明らかになった。それなのに政府のIT予算は年間5000億円を超えています。
ITゼネコンは役人が無知なことをいいことに、パフォーマンスの悪いシステムを3倍くらいの値段で納品しては、その後のメンテナンスでがっぽり儲けている。