哺乳類なら知っておきたい! 「おっぱい」の“秘密”

科学でひもとく 神秘の液体“母乳”(1)

地球上におよそ6000種いるとされる哺乳類。そのすべてに共通するのが「哺乳」、つまりおっぱいを与えて子どもを育てるという生態です。

いま、研究者たちは謎に包まれていたこの神秘の液体に大注目。それぞれの種の生息環境や子育てスタイルに応じておっぱいが最適な成分に進化してきたこと、特に私たち人間のおっぱいには、未熟な赤ちゃんを病気から守る巧妙な仕組みが備わっていることなど、驚きの事実を次々と解き明かしています。

さらに、おっぱいは、哺乳類が地球上のあらゆる場所に進出することを許し、大繁栄を遂げる原動力のひとつだったことも突き止めています。(NHK「サイエンスZERO」取材班

 

おっぱいは“オーダーメード”の飲み物

北海道・帯広畜産大学の浦島匡(うらしま・ただす)教授は、30年以上にわたっておっぱいの成分を分析する研究者です。ウシを皮切りに、これまで世界中の50種を超える哺乳類のおっぱいを集めて分析してきました。

おっぱいは、母親の血液に含まれる栄養分と水分が乳房にある乳腺に取り込まれてつくられる液体です。どの種の哺乳類のおっぱいにも共通して、水分、糖、タンパク質、脂質が含まれています。しかし、それぞれの成分の割合は種によって驚くほど違うことが分かってきました。

おっぱいは母親の血液からつくられる/NHK提供
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例えば、カナダなど寒い地域の海に暮らすタテゴトアザラシは、クリームのようにドロドロとしたおっぱいを出します。このおっぱいの成分を分析すると、水分はわずか3割で栄養分が7割を占めることが分かります。ウシのおっぱい(牛乳)の場合、9割が水分であることを考えると、驚くほどの濃さです。しかも、タテゴトアザラシのおっぱいの栄養分のなかで、8割近くを占めているのは脂質です。

ウシとタテゴトアザラシのおっぱいの成分の比較/NHK提供
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浦島さんは、タテゴトアザラシの特徴的なおっぱいの理由は生息環境にあると考えています。海に浮かぶ氷の上で生まれるタテゴトアザラシの赤ちゃんにとって、寒い環境で体温を一定に保ちその後の水中生活に耐えるには、分厚い皮下脂肪が必要です。

加えて、タテゴトアザラシの授乳期間はわずか2週間しかありません。急速に皮下脂肪を蓄えるためにも、脂っこいおっぱいが必要なのです。誕生時10キロほどの赤ちゃんは1日2キロのハイペースで成長し、2週間で40キロにもなります。

タテゴトアザラシの赤ちゃん/NHK提供

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