アメリカ企業でも方針は二分
「成人の70%以上が少なくとも1回のワクチン接種」という政府が目指した第一関門の目標が達成され、いよいよ経済再開活動が本格化してきた今、今後の「働き方」について、より現実的な議論がされるようになってきた。
筆者は周囲の様子から、ポストコロナの時代になってもアメリカでは在宅勤務の文化が続いていくと思っていたが、事はそう単純ではなさそうだ。蓋を開けてみると、業界や世代によって意見が二分している。

例えば、テック系の企業の多くは、在宅勤務を今後も継続していきそうだ。
日本発のIT企業、ヌーラボのニューヨーク支社では、ポストコロナの時代も従業員のリモートワークを可能な限り奨励していく予定だ。
同社の共同創業者でニューヨーク支社代表の田端辰輔さんは、「WFHの推奨というより、ワーク・ライフ・バランスのために会社や家など働きたいところでリモートワークをするオプションを設けています。ただし何かを生み出し、チームビルディング(同僚との協調性や団結)のためには対面コミュニケーションはあった方がいいので、コロナの状況が落ち着いたら不定期で集まる機会を作っていきたい」と語る。
別のIT企業も在宅勤務制を今後も続ける予定だ。管理職の知人Tは、オフィス賃料とも関係があると言う。
「マンハッタンの賃料は全米でも破格の高さ。オフィスを畳むと賃料の節約になるため、リース切れとなる来年のタイミングでオフィスを退去するつもり」と、内情を教えてくれた。
チームビルディングがうまくいくのか気になるが、「飲食店や会議室、コワーキングオフィスなどを利用し、対面コミュニケーションは定期的に続けていくので問題ない」とした。