涙を流すことは恥ずかしいことじゃない

横浜市港北区を拠点に活動し、2019年度の神奈川県チャンピオンシップU-12で、横浜F・マリノスなどJクラブの下部組織2チームを下して優勝したNPO法人大豆戸(まめど)FCでは、負けて泣く選手たちをコーチたちがにんまりしながら見守るという。

代表理事を務める末本亮太さんは「負けて泣くことは、成長の一段階として考えています」と話す。人生で初めて泣く子がいれば、逆に、負けても、勝っても、涙を出さない子もいる。かと思えば、周りを見て「泣かなきゃだめかな?」といった感じで周囲をうかがう子どももいる。

「なかには、親御さんの期待がプレッシャーになっている子どももいます。その期待に応えられなかったという涙ですね。どんな感情による涙なのか、なぜ泣いているのかを見ます。この子の涙はこういうことなのかと理解する。どの涙が正しい、悪いとジャッジするのではなく、その子の成長の過程を見る。そんな感じでしょうか」

末本さんは「負けて泣いたっていいんだよ。おまえたち、むちゃくちゃかっこいいぞ」などと声をかける。

「涙を流すことは恥ずかしいことではないことをまず伝えます。彼らが本気でやったから、涙が自然と出てきたんだ、と。そうすると、間違いなく、子どもは変わっていきます。泣きじゃくっていた子が歯を食いしばって我慢するようになったり、どこか他人事のような顔だった子が感情をほとばしらせたり。親御さんたちにも、涙は成長のプロセスなんだと考えてほしいですね」

Jリーグ下部チームを撃破して話題を呼んだ大豆戸フットボールクラブ 写真提供/写真提供/NPO法人大豆戸FC

他方、日本の少年スポーツでは「負けても悔しがらない」「泣きもせずケロッとしている」といった大人たちの嘆きを聞くことがある。「泣くくらい悔しがれよ」と叱るコーチもいるそうだ。そんなことをせず、上述した東西の2クラブのように、ありのままの子どもの感情を受け止めたいものだ。