Photo by iStock

工藤勇一校長が目指す、人類を滅ぼさないための「対話」の教育

対立を乗り越えるために必要な姿勢
ブラック校則や不登校、いじめに教員の過酷な労働環境……現代日本の抱える教育問題を、前麹町中学校長の工藤勇一さんと演出家の鴻上尚史さんが語り合った現代新書の最新刊『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』。対談を終えた工藤さんは、改めて何を思ったのか。工藤さんがこれから目指すべき学校教育の姿を語った「おわりに」を特別にお届けする。

関連記事:校則を疑い続けた演出家・鴻上尚史が出会った「言葉の通じる先生」

関連記事:工藤勇一×鴻上尚史 学校が嫌になった子にかけるべき三つのセリフ

人は信頼する人からしか価値観を学ばない

「服装頭髪の乱れは心の乱れ」というフレーズは、長い間、日本中の学校でまことしやかに言われてきました。しかし、情報化社会になった今ではこのことがまったくの迷信であることなど、ほんとうは日本中の誰もが知っているはずのことです。欧米の学校ではそもそもそんな概念すらないのですから、これが学校教育の本質ではないなんてちょっと考えれば簡単にわかることだからです。

にもかかわらず、多くの学校では今でも相変わらずルールを維持しています。

「服装頭髪のことなど勉強には関係ない!そんなことを気にするんじゃない!」多くの教師たちが声を荒らげてこう言います。しかし現実は教師が厳しく指導すればするほど、生徒たちは服装頭髪のことをますます意識するようになってしまいます。じつに滑稽な話です。

さらに悪いことには、やればやるほど生徒と教師のあいだの「信頼関係」というもっとも大切なものを失っていきます。そして、教師自身が不幸になっていくのです。

Photo by iStock
 

人は信頼する人や尊敬する人からしか価値観を学びません。多くの場合、好きな人からしか学ばないと言ってもよいのかもしれません。ですから、信頼を失った教師が生徒たちにどんなに立派なことを述べたとしても、その言葉は生徒たち自身の価値観、生き方に響くことはほぼありません。それは教師にはとてつもなく苦痛です。その延長線上には対立関係しか生まれないからです。

校則は教師が意識すればするほど生徒も意識するようになります。生徒たちに「勉強以外のことに目をとらわれるな」と言いたいのであれば、校則は逆に厳しく注意してはいけないのです。

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/