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工藤勇一×鴻上尚史 学校が嫌になった子にかけるべき三つのセリフ

不登校は親の育て方の問題ではない
現代の日本の教育問題の一つが、不登校だ。自分の子どもが不登校になってしまったら、何がいけなかったのかと悩む親も多いだろう。しかし、前麹町中学校長の工藤勇一さんは「不登校には親の育て方はまったく関係ない」と言う。現代新書の最新刊『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』より、工藤さんと演出家の鴻上尚史さんによる、子どもと取るべきコミュニケーションについての議論をお届けする。
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手をかけすぎる母親の悩み

鴻上 僕は雑誌とウェブサイトで人生相談を担当しています。毎月50本を超える相談が寄せられるのですが、先日、担当編集者が「ぜひ、これを」と持ってきたのが次のような相談。

娘が『クレヨンしんちゃん』のケツだけ星人のまねをしていて、もうこの四月から小学校に入るんだけど、このままいったら女の子なのにケツだけ星人をしていることで、どんな烙印を押されてクラスでいじめに遭うかわからない。どうしたらよいでしょう

まあ、正直、脱力したんですが、そのお母さんにしてみれば切実な悩みなのかもしれない。なので、こう答えたんです。

なぜ、子どもたちがケツだけ星人のまねをするのか。それは大人が反応するからです。大人が顔をしかめたり、むっとしたり、怒ったりするからやるわけで、その反応を、子どもたちは楽しんでいるし、甘えているわけだから、そんなことを問題にすること自体がおかしいのではないでしょうか
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このあたりも工藤さんに聞いてみたいんです。たとえばこの子が小学校に入って、校内でケツだけ星人をまねしたとします。それでもし浮いたとしたら──下品だからというよりも、いまどきケツだけ星人かよ、といったギャグセンスのなさが、子どもの世界で浮いてしまう可能性もある。そこで、この子はようやく自分の失敗に気づく。

こうやって気づきながら、子どもは成長していくものだと思うんです。失敗することは子どもの権利ですから。でも、やっぱり、いまのお母さんたちって、このレベルの心配にとらわれてしまっているんですよね。

 

工藤 いまの相談事例からすると、このお母さん、ほんとうにこういったことで心配しているのだとすれば、手をかけすぎるタイプの方かもしれませんね。

鴻上 たぶん。先回り先回りして、余計な心配を重ねていくお母さんでしょうね(最近は、こういう母親を「カーリングママ」と呼ぶんだそうです。見事なネーミングだと思います)。

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