2021.08.15

「ペーパー離婚」で夫婦別姓に…牧野紗弥さんが直面した「日本で“事実婚の家族”を生きる」難しさ

樋口 可奈子 プロフィール

姑と同居しながら娘たちの子育てに専念していた牧野さんの実母。習い事などの送り迎えもきっちりこなし、仕事で忙しい父親は「平日はまったく気配感じることがなかった」と牧野さんは振り返る。子どもの前では夫婦げんかもしなかった。もしかしたら、見えないところで実母も葛藤を抱えていたのかもしれない。

子どもにそんな姿を見せなかったのは母なりの美学だと、今の牧野さんなら理解できる。だが、その美学の影響を受けて、実母のような「いい母」になれないことに苦しんだ時期もあった。

「子どもには選択肢がたくさんあることを示したいんです。将来結婚してもしなくてもいい。女性2人、男性2人の家庭であってもいい。ジェンダーの問題を考え始めて、私にも選択肢があったのにそれに気づかなかったし、それを知ろうともしなかったと改めて思いました。家族の多様性や性教育についても子どもたちと会話するようになりました」

 

夫婦別姓だけではなく、共同親権についても議論を

現在、夫との間では弁護士を立て、事実婚の誓約書を作成中だ。いわゆる、法的に離婚した後の暮らし方に関する決まり事をまとめているわけだが、「法律婚から事実婚に戻すのがこんなに大変だとは思わなかった」と牧野さんは漏らす。

「離婚するにあたって問題なのは相続と親権。相続は先のことなので、その時になったら考えることに決めました。ただ、親権だけは今どうしても考えなくてはならない。日本は(離婚した場合)単独親権しか認められないので、どちらが親権を持つのかという落としどころをつけるのが非常に難しいんです」

離婚後も同居は続ける。でも、どちらかは親権を失う。これに関しては、お互いになかなか気持ちの整理がつかないという。また、親権について学ぶにつれ、さまざまな「不都合」にも気付くようになった。

「たとえば、子どもの予防接種。親権がないほうが付き添う場合は親のサインができません。また、子どもが私の苗字に変えた際に今まで通り夫の姓が使えるかどうかも学校によって対応が異なると知りました。細かいことを一点一点調べながら、その都度夫や弁護士と話し合っています」

関連記事