「ペーパー離婚」で夫婦別姓に…牧野紗弥さんが直面した「日本で“事実婚の家族”を生きる」難しさ

樋口 可奈子 プロフィール

「米国への留学時に、自分の意見をはっきり持つことの大切さを学びました。でも、結婚時にみんなの反対を押し切ってまで『牧野姓を守りたいと』と我を通すのも良くないと思っていた。結婚して10年以上経って、改めて自分の思いに正直になることができたんです」

2020年の夏、ついに夫に事実婚に移行したいという思いを伝えた。予想もしなかった提案に、当初は夫も戸惑いと不安を隠さなかったという。だが、夫婦で話し合いを進めるにつれ、夫は夫で「男は稼ぐべき」という思いに縛られていたことが見えてきた。そこで共働きの夫婦として世帯の収入で考えていきたいということ、引き続き同居してともに子育てしながら「別姓夫婦」として歩んでいきたいという牧野さんの考えを話し、徐々に理解してもらったという。

 

「絶対、家族全員一緒」とは子どもに言いたくない

しかし、いくら今後も同居は続けるとはいえ、法的に離婚となれば子どもたちにも影響は出る。苗字を変える必要や、周囲からあれこれ聞かれることも出てくるかもしれない。そこで事実婚への移行を考えた時点で、子どもたちには正直な気持ちを打ち明けた。「親の勝手だけで行動はしたくないと思った」からだ。頻繁に家族会議を重ね、子どもたちの意見もじっくりと聞くようにしてきた。

小4の長男は「人生一回なんだから、好きなように生きたらいい」と言ってくれた。一方で、最初から理解を示していたように見えた小6の長女からは「実は、いつかパパとママを選んでと言われると思っていた」と打ち明けられた。どうやら、長女は(実質的な)離婚の可能性を考えていたらしい。「夫婦別姓」という選択は、小学生には理解できる部分もあれば難しい部分もあったのだろう。牧野さんが「家族がバラバラになることはない」と改めて伝えると、ほっとしたように笑顔を見せてくれたという。

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