日本郵船の商船三井の「リアル」
決算前のコンセンサスを見ても分かるように、内容としてはほぼ完全にサプライズだったようで、前回予想近辺でそのまま張り付いていたことを考えれば、上振れた分だけ決算後の株価の急騰が起こっても無理はないところだ。
一方で、増配については前回予想からは非常に大きな乖離があるものの、アナリストはある程度増配を予想していたようで、今回の上方修正に対する乖離幅は、対前回予想よりは小さくなっている。
しかし、これはほぼ間違いなく配当性向の想定によるもので、前期の実績が日本郵船で14%、商船三井で17%という数字にアナリストが従っただけであろう。言い換えれば、純利益、配当ともに「事前にアナリストが織り込んでいた分を大幅に上回る」上方修正であったことが理解できる。
しかも、これほどの過激ともいえる上方修正であっても、特に配当については過去の期待値の推移や会社の前提からすれば物足りない。
図:日本郵船と商船三井 配当性向想定

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上の表は上記2社の会社想定の配当性向(短信に記載)と、過去10年程度の四半期ベースのコンセンサス配当性向の統計値(赤字や予想配当性向が100%を超えるサンプル期間は除く)だ。
前掲の表と見比べると、これらの値は前回の実績、そして今回の大幅な上方修正後の配当性向の値をさらに上回っていることが分かる。会社予想との差分は微々たるものかもしれないが、特に過去のコンセンサスとの乖離が非常に大きく映る。