マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

お盆の帰省は難しい2021年… 

新型コロナウイルス、デルタ株も含めた感染拡大で、デパ地下含めて人流制限が必要だという。お盆の帰省も諦めた人は多いだろう。
ではその代わりにできることって何だろう。

伊藤理佐さんのオムニバスショート漫画『おいピータン!!』を読み返していて、自宅でお手軽な帰省をしたり、なつかしい思い出に浸ることができたら楽しいのかもしれないと感じさせられた。それが4巻2話の「幸福の匂い」である。

「おいピータン!!」シリーズは、現在は『おいおいピータン!!』と名前を変えて「Kiss」で20年以上連載されているオムニバスショートコメディで、講談社漫画賞少女マンガ部門や手塚治虫文化賞短編賞などを受賞している。「食べる」ことを中心に、人生様々な「あるある」を描き出し、笑いながらちょっと胸がチクッとしたり、目から鱗の気づきを得たりすることができる傑作ショートコメディだ。

主人公の大森さんは、とにかく食べることが大好き。仕事で部下がセクハラを受けて思わず仕事相手を殴ってしまったとき、一緒に謝りに行った際にも、お詫びして和解した後の仕事相手に「この辺で美味しいラーメン屋はありますか?」と聞いたりする。「はあ? セクハラしたムカつく相手に何を聞いてんだこの上司!」と心の中でつぶやく部下の女性。しかしその後そのお勧めのラーメン屋に行って、大森さんは「決断」をするのだ。思わず部下をして「か、かっこいい!」という決断の裏には、美味しいものへのリスペクトと、それを軽んじる人へを信頼しないという強い決意が見える(詳しくは「おいピータン!!人間学(7)「仕事相手にセクハラされた…上司が神に見えた対応とは」」をどうぞ)。

セクハラされても、暴力はダメなんです…

そんな、食を愛する大森さんには、なかなかの「特技」があるのだ。

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料理の匂い、思わず深呼吸しちゃったりしませんか

そう、大森さんの特技とは「匂いでその料理を判断すること」。道を歩いていて、「ああ、カレーだねえ、うなぎだねえ」と思わずお腹がすくことは少なくないだろう。ソースの香ばしい香りをかぎたくて、わざわざお好み焼き屋さんの前を通って帰ったりした人もいるのではないか。
そして、なによりも実家や近所、そして昔から食べていたような料理の匂いをかぐと、「美味しさ」だけではないいろんなものが溢れてくることはないだろうか。

茹でたてのトウモロコシの匂いや、スイカを切った時の匂い、カツオ出汁の香りで懐かしい思い出にひたる人もいるかもしれない。親の手料理や、近所でよく行った料理の香りにテンションが上がる人もいるかもしれない。

Photo by iStock

さて、大森さんはそのさらに上をいく。ただその匂いで「美味しそうだな」「懐かしいなあ」と感じるだけではないのだ。ラーメンの汁の深みの理由を知ったり、住宅街で「この匂いは、イカと大根をしょっぱく煮てるね!」なんて言ったりする(そしてたぶん当たっている)。彼女と暮らす家でも、「コーンポタージュの匂いがする!」と探し回って、驚きの結果が出たことも……。

(c)伊藤理佐『おいピータン!!』4巻/講談社

そんな大森さん、彼女の渡辺さんと住宅街を歩いていて、ふとした「料理の匂い」に気づく。その匂いがするときの渡辺さんの思い出を聞いていくと、まさに「幸福の匂い」ってこういうことなんだなと、胸がほっこり温かくなるのである。

あなたにとっての「幸福の匂い」とは何の匂いだろう。その「匂い」を自宅で再現してみるのも、お盆の素敵な過ごし方になるのではないだろうか。