NATOアフガン撤退で差し迫るタリバン「裏切り者狩り」の恐怖

ドイツはなぜ彼らを受け入れないのか

その時は刻々と迫っている

「『我々と共に働こう。一緒に力を合わせてあなた方の国、アフガニスタンを素晴らしい民主主義国として再建しよう!』アフガニスタンに進出したドイツ軍はそういって、現地の協力者をリクルートした。しかし、20年後の今、『君たちは本当によくやってくれたが、残念ながら作戦は失敗した。僕たちは引き上げるので、あとはタリバンとうまくやってくれ』というのか?」と、マルクス・グロティアン陸軍大尉は憤る。

グロティアン氏は、「アフガニスタンでの現地スタッフのためのスポンサーシップ・ネットワーク」の創設者で、目下のところ、勤務以外の時間は寝る間も惜しんで、アフガニスタンに残っている現地スタッフ救済のための活動に没頭している。

Gettyimages

今年の4月、NATOがアフガニスタンからの撤退を発表した。以来、西側の軍隊は次々に引き上げており、ドイツ軍も6月30日、北部の基地クンドゥースにいた最後の兵隊264人を引き上げた。クンドゥースはドイツ軍が最後まで維持した大きな基地の一つだ。

そして、それに反比例するようにタリバンが息を吹き返し、制圧領域を広げている。ドイツ軍の撤退後5週間余りの8月8日、クンドゥースもタリバンの手に落ちたというニュースが淡々と流れた。20年間の兵士たちの努力と莫大な軍事費があっけなく無に帰した日であった。

さらに、8月11日、ドイチュラントフンクによれば、タリバンは、アフガニスタン北部バグラーン州の州都プリ・フムリー(人口25万人)も制圧。これにより、首都カーブルと北部の重要都市マザーリシャリーフの交通路もタリバンの制御下に入った。EUの情報によれば、アフガニスタン全土の65%が(その他のニュースソースでは80%とも)、すでにタリバンに制圧されているという。

 

そして、この状況下で、今、一番追い詰められているのが、NATO軍のために働いていたアフガニスタンの現地スタッフたち。タリバンが進駐してくれば、真っ先に、しかも残忍に首を落とされるのが、外国勢力のために働いていた彼ら「裏切り者たち」だ。もちろん、その妻や娘たちにも過酷な運命が待っている。しかも、その時は刻々と迫っている。

それが分かっているため、米軍はチャーター機を用意し、通訳も運転手もガイドもコックも、とにかく米軍が雇っていた現地スタッフとその家族を全員、アメリカに連れて帰っている。英国政府も同様で、英国に着いてから生活が落ち着くまでの面倒も、軍がしっかり見ているという。

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