2021.08.13

歌舞伎町「トー横」に溜まる若者たちが求める「SNSじゃないリアル」

抱えている「生きづらさ」
佐藤 隼秀 プロフィール

未成年の「紐帯なきコミュニティ」

トー横周辺は住宅街でもなければ、多くの商業施設や飲食店も時短で閉まっている。夜遅くまで騒いでも近隣の人に通報される可能性は少ないのかもしれない。

警官による見回りや注意はあるものの、その場限りといった印象だ。トー横キッズたちは警官たちに注意を受け、一度は立退いて逃げるものの、警官が去れば再び溜まり場に戻って来る。通報にも慣れているのか、若者たちは警官に動じていないようにも見えた。

たった一本の路地を指す「トー横」の存在は、語る人の立場によって、プリズムのように違う界隈に映る。今回聞いた話も、一部の人の事情や推測に過ぎない。未成年飲酒をはじめとしたモラルの欠如は当然問題だが、界隈に入り浸る若者にもそれぞれ事情があるようだ。

 

かつて2000年代前半の渋谷センター街周辺では、高校生がファーストフード店やカラオケ、クラブなどでたむろする光景があった。学校や日常生活からはみ出た若者たちが、都会でたむろする習慣は、どこか今のトー横界隈を彷彿とさせる。

しかし現在は、SNSの発達により、2000年代前半に比べて簡単に他人と繋がりやすくなった。当時は「前略プロフィール」や「mixi」といったサービスも始まったばかりだ。

それから早15年ほど。いまではハッシュタグやDM機能などで、リアルで共通点がない他人とも容易に関わりを持てる時代になった。トー横キッズたちの姿を見ていると、SNSでのやり取りを嚆矢として、お互いを「認知」したり、実際に会っているのが当たり前のようだ。

いつの時代でも、居場所を求める若者らが「リアル」で交流を求めるのは同じだ。トー横は、疎外感やわだかまりを抱えた、未成年含む若者たちの「紐帯なきコミュニティ」として機能している。

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