2021.08.11
# エンタメ # オリンピック

なぜ酷評の「オリンピック閉会式」は超高視聴率だったのか?

あの『イッテQ!』も視聴率半減…
木村 隆志 プロフィール

開会式と同じ「ツッコミ」「文句」視聴

冒頭に挙げた業界関係者たちのメールには、「オリンピックが終わってしまうことを惜しんでいたのでしょうか?」という疑問も書かれていた。もちろんアスリートの奮闘によって「開催前よりもオリンピックの素晴らしさが身に染みた」という人は多いだろう。

あるいは、あまりに実感がないため「本当に自国で開催されていたのか?」を最後まで確認したかった人もいたのではないか。なかでも、「チケットを持っていたが、観戦が叶わなかった」「パブリックビューイングで盛り上がろうとしていた」という人々の無念も、数字を上乗せしていたと推察される。

 

ただ、これほどの高視聴率が出た以上、それだけの理由とは思えず、それを読み解くヒントを開会式に見い出したい。

「開催直前まで関係者の辞任騒動に揺れ、実際に見てみたらツッコミどころだらけだった」という開会式を踏まえると、「では閉会式はどうなのだろう」という興味が湧くのは自然ではないか。

たとえば、過去の発言や作品までさかのぼって批判され、降板だけでなく現在の仕事にも支障が出てしまうのだから、「閉会式も多くのアーティストに断られるのでは?」と考えるのが普通の感覚。「じゃあ誰が出るのか」「その人は清廉潔白なのか」と興味の対象となるのは当然なのだ。

また、実況担当のアナウンサーが言い間違いをした瞬間、ネット上は沸きに沸いた。「楽しいサプライズが用意されているのでは……」と純粋に期待していた人もいるが、その数は少ないと言わざるを得ない。

このような興味本位で、「ツッコミを入れながら、特に文句を言いながら見る」という視聴方法は、すでに定着している。

たとえばドラマでは、ツッコミが入ることが前提の脚本・演出も少なくないし、それは「ネット上の反響をリアルタイム視聴につなげたいから」にほかならない。

『東京オリンピック閉会式』のような生放送コンテンツなら、なおのこと。たとえば『NHK紅白歌合戦』の歌唱や演出も同様であり、酷評を受けながらも毎年、高視聴率をキープしている。

もはやテレビにとって生放送コンテンツは、「ツッコミや文句を言いながら見られる」ことがベースであり、称賛を受けられる可能性が低いことを覚悟するべきものなのだろう。

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