2021.08.14
# ライフ # 日本

妊婦にこんなことするんだ…結婚せずに出産して見えた「日本の現実」

松田青子さんインタビュー

昨年、『おばちゃんたちのいるところ』がアメリカのTIME誌が選ぶ「2020年のベスト本10選」に選出され、現在、世界幻想文学大賞のファイナリストに名を連ねるなど、国内外から注目を集める小説家の松田青子さん。

最新刊となるエッセイ『自分で名付ける』では、結婚せずに子どもを持った実体験を綴った。そこでは、おおざっぱに扱われがちな「結婚」、「妊娠」、「出産」、「育児」、「母性」……といった一つひとつに、鋭いツッコミを入れている(珠玉のツッコミの一部は本文で引用した)。

制度やしきたりや世間に流されることなく、「私」を大切にする松田さんのスタイルについて聞いた。

(撮影=間部百合)
 

納得できない「日本の慣習」

《戸籍、というものの強い感じが苦手だ。強そうに、えらそうにしやがって、と思う。》――『自分で名付ける』(集英社/以降、引用は同書より)

2019年、松田さんは結婚せずに子どもを産んだ。結婚するとほぼ100%近く、女性側が姓を変える日本の慣習に納得ができなかったという。

「結婚願望もなかったし子どもを持つ気もなかったんですけど、30代後半になって急に、あれ、今なら自分一人でも子どもを育てられるかも、と思ったんです。

子どもを持つとなってからも結婚する気は特になかったですし、名字を変えることで生じる手続きの面倒くささも嫌でした。それにお互い自分の名字が気に入っていたこともあり、『なら別にしなくていいよね』と、結婚の話はさっと終わりました。自分の感覚に合わせたら結婚せずに子どもを持つことになった、という感じで、私にとってはそれが“普通”の選択だったんです。

でも“できちゃった婚”という言葉があるように、日本では結婚前に子どもを持とうとすると、『順番が違う』とか、『家族が恥ずかしい思いをする』みたいな声が聞こえくる。これも私はずっと不思議でした。順番なんて当人同士が納得していればどうでもいいはずなのに、なぜ外側からあれこれ口を挟むのか。日本は夫婦別姓を認めていないので、仕方なく事実婚に踏み切ろうとする人たちを『自分勝手』、『子どもがかわいそう』と非難する人もいますが、同じ不可解さを感じます。同性婚などもそうですが、制度が窮屈で不寛容な時に、様々な理由でその中に入ることができない人たちをなぜ責めるのか、本当にわからないです。

子どもを大切に思う気持ちは結婚する/しないで変わらないし、子どものいるカップルは互いに同じ名字じゃなきゃ家族になれない、なんてことはないと思うんです」

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