雪の中を走る津軽鉄道線[Photo by gettyimages]
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地方鉄道の苦しい実情…「旅行できない夏休み」が観光鉄道に与える大きなダメージ

津軽鉄道線のこれまでとこれから

津軽鉄道は、青森県にあるJR五能線五所川原駅の脇の津軽五所川原駅から出発し、金木駅を経て、終点・津軽中里までの20.7kmをむすぶ非電化の単線鉄道である。青森出身の文豪、太宰治の故郷に近いため、例年は数多くの観光客が利用してきた。しかし新型コロナの影響で観光客が激減し、夏休みを迎えても客足の回復は見込めないため、津軽鉄道は大きな危機を迎えている。

雪の中を走る津軽鉄道線[Photo by gettyimages]
 

観光名所は「太宰治の実家」

津軽鉄道の観光の目玉は、何と言っても太宰治にまつわる名所である。金木駅の近くには、太宰治が生まれ育った建物が、斜陽館という観光施設として残されている。もともと太宰の実家、津島家の邸宅であるが、太宰が生まれ育った時には、表通りに面して銀行の窓口があった。現在は、隣に青森銀行の看板が出ており、金木の中心地であった当時の面影を残す。

青森県出身の文豪・太宰治[ウィキメディア・コモンズ]

金木は、青森ヒバの集積地で、津軽半島の先端近くまで森林鉄道が線路を伸ばしていた。その1本が津軽半島東岸の蟹田から青森市内の営林署までつながっていた。

この森林鉄道の様子は、太宰治の小説「津軽」にも描かれている。小説「津軽」は、主人公が津軽を紹介する紀行文の注文を受けたことに始まる。書き始めは、淡々と観光情報が書かれるだけなのであるが、書き進めるにしたがって次第に情感が加わり、さらに森林鉄道の描写では、読み手は期せずして小説の中に引き込まれてしまうような勢いが付く。

太宰は、実家では六男なので、長男から見れば一段下の存在であり、屈折した幼少期を過ごした。大学への進学のために故郷を後にしたが、本人は、きっと清々とした気分であったろう。その気持ちが、「津軽」の冒頭の淡々とした面白みのない文章に表れている。

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