フードロスを減らしたいけれど、家庭でできることにはどんなことがあるのだろう? 食材の選び方や保存法、調理のアイデアなど、楽しく、かしこく、おいしい食卓をつくるヒントを、料理家の山戸ユカさんの暮らしから学びます。

●教えてくれた人
山戸ユカさん 
やまと・ゆか/料理家。山梨県北杜市で季節の野菜やローカル食材を使ったレストラン「DILL eat, life.」を夫と営む。添加物を使わない手作りのアウトドア用トレイルフード〈The Small Twist trailfoods〉の製造・販売も行う。

【1】食べものの価値を知る。

だれが、どんなふうに育てた食材か? 
毎日食べるものを“知る”ことが第一歩

「フードロスを減らそう!」と思うと、「食べ残しをしないようにしよう」、「食材は無駄なく使おう」と考えるかもしれません。どちらも大切なことですが、私はまず食材について思いを巡らせます。私が日々使うのは地元の農家や養鶏家、養殖業の方々が丹精込めて育てたもの。有機農法や鶏の平飼いなど、手間を惜しまず、健やかでおいしい食材を作る人々の思いに触れるたび「余すことなく食べたい」という気持ちが強くなります。食材を育ててもらったことへの感謝の気持ちが芽生えるのです。生産者について知ることは生産方法を知ることでもあります。

農薬や化学肥料を使わずに育てられた野菜は、さっと水洗いするだけで皮ごと調理できます。捨てる部分が格段に減って、調理も楽。栄養だって満点です。

スーパーで売られている野菜は、消費者には生産方法が見えにくく、農薬などのことが気になって皮ごと食べるのは少し不安という人もいるでしょう。地元の直売所や生産者からのお取り寄せなど、生産方法が明示されている野菜なら安心して皮ごと食べられ、その分廃棄量は減らせます。これは私の印象ですが、有機栽培された野菜はその“持ち”が格段に違います。化学肥料に頼らず、植物そのものの生命力を伸ばす方法で育てられているせいかとてもたくましい。長く新鮮さをキープできる健やかな食材を選ぶことも、フードロスを減らすひとつの方法です。

輸入品の多いフルーツ。皮を使いたいなら国産の有機栽培品を。柑橘などそのまま食べられない皮は砂糖煮にしたり乾燥させて紅茶に入れたり。お料理にも使えます。
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【2】かしこく保存する。

「そのうち食べる」は御法度。
食べるタイミングに合わせた保存方法を

ついたくさん買ってしまった食材。肉や魚は冷凍保存すれば日持ちしますが、問題は野菜類です。忘れがちですが野菜はすべて植物。ほとんどは収穫後も生きています。

じゃがいもと玉ねぎは紙袋に入れて常温保存。玉ねぎはみじん切りやくし切りなど、使いやすい形状にカットしてから冷凍保存してもいいでしょう。ハンバーグやカレーなどに使う場合は、あらかじめ炒めたものを十分に冷ましてから冷凍します。じゃがいもはそのままでは冷凍には不向きです。

茎のある葉物野菜は生花と同じ感覚で、茎を少し切り、新鮮な水に挿して「水揚げ」すると元気を取り戻します。パクチーなどのハーブ類はそのままにして、毎日水換え。ほうれん草や春菊などの葉物は水揚げしたあと新聞紙でくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵庫に入れると新鮮さをキープできます。

葉物野菜を買ってきたらまずは水揚げ。その日のうちに生で使うなら調理直前までその状態でOK。ハーブ類は毎日水換えすれば2~3日はフレッシュな状態を保てます。観賞用のお花と同じ感覚で“育て”ながら食べるのも楽しいものです。2日目以降、少し元気がなくなってきたら、茎を少し切ると復活します。

炒め物や煮込みなど加熱して使う野菜やキノコ類は冷凍保存。「そのうち使うから」と冷蔵庫に入れたものの、気づけばシナシナに……という悲劇も防げます。ポイントは水気をしっかり取ってから冷凍すること。もやしやキノコはほぐし、葉物類は食べやすい大きさにカットしておくと凍ったまま調理に使えて便利です。

加熱調理する野菜は迷わず冷凍室へ。にんにくは皮を剥いた状態で冷凍。調理する少し前に常温に置いておけば、普段通りに使えます。葉物野菜やもやし、キノコ類は解凍すると水っぽくなるので、凍ったまま調理しましょう。